
暗然たるさざ波
「手強かったわね。イズデイル、立てる?」 「ええ、なんとか…」 差し出されたガルフィズの手を取り、イズデイルは立ち上がる。
「手強かったわね。イズデイル、立てる?」 「ええ、なんとか…」 差し出されたガルフィズの手を取り、イズデイルは立ち上がる。
「さて、嬢ちゃんに借りができちまったね」 「あら、気にしないで。私とおば様の仲じゃない」 大げさに肩をすくめながら、ギルゼンスが言う。 ...
「くっ…!」 「なんだよ、この氷はよ!うぜえ!」 グレイザたちの半身を覆う氷は分厚い。 ブリッツで砕くとしても数十分はかかるだろう...
「さて、話してもらうよ。なぜ天獣をけしかけたんだい」 冷たい海風を背に、グレイザが静かに問い詰める。 対峙するラージェマは静かに歩み...
海上を吹き抜ける乾いた風が、剣呑な気配を運んできた。 透き通るような青空の下、巨大な影がゆっくりと降下してくる。
傾いた陽が海面を金色に染め、波のゆらめきに合わせて光が踊っている。 アムネズはひとり、沿岸にそって飛んでいた。
天啓が降りたあの日、グレイザの心に宿ったのは復讐の二文字だった。 神意など知るよしもない。 ただひとつ確かなのは、この超常の力が仇を討つ...
「僕らひとりの力は確かに小さい。だけど、みんなが目標を共にしてまとまれば大きな力になるはずだよ」 エリオンは真っ直ぐにグレイザの目を見てそ...
群れのボスと見られるエルパードの鱗は、まるで天の裁きを宿しているかのように美しく輝いていた。 不気味に輝く双眸は鋭く、見つめられるだけ...
「おばさま、クッキーを焼いてみたんです。後で一緒に食べましょ」 聖女ジュレインの屈託のない笑顔。 彼女も望んで天啓を受けたわけではない。...