
最後の防壁
長い封印から解き放たれた神獣の巨体には、天地を揺るがすほどの神気が満ちあふれていた。 脈動する神気がその身を駆け巡り、周囲の空間すら歪ませ...
長い封印から解き放たれた神獣の巨体には、天地を揺るがすほどの神気が満ちあふれていた。 脈動する神気がその身を駆け巡り、周囲の空間すら歪ませ...
昼下がりに差しかかった空では、太陽がぎらぎらと海面を照りつけていた。 白い雲ひとつない蒼穹の下、5人のシューターたちによる爆撃が続いている...
頭上の太陽に黒い人影が重なる。 垂直に天から落下するように神獣に近づくその影は、黄金に輝く4本の大剣を携えていた。
城壁が砕ける轟音が夜の空に響きわたった。 粉塵が風に巻き上げられ、月明かりすらかすむほど視界が白く曇る。 その中から突き出してきたのは、...
「わざわざ誘いに乗ってひとりで出向くなんて。ベルナズ!あなた、自信過剰にもほどがあるわ」 めずらしく感情を露わにしながら、ジグナがたしなめ...
「それにしてもよ。なんで民衆は『自称、神』なんてのを簡単に信じちまうんだろうな」 両手を頭の後ろで組み、長椅子に腰掛けたベルナズがぼやく。...
「私は民衆の苦しみを直視する神だ。教皇庁のように至高の存在として見下ろす側にはならない――」
空は薄っすらと暗くなり始めていた。 青く光る環の中に、紺碧の鱗に包まれた龍型の獣魔が浮かんでいる。
「イズディ、これちょっとヤバくない?」 聖女が待機する詰所の上空で、パルヴァズは獣魔の姿を見ながらつぶやいた。