
重なる暗雲
「わざわざ誘いに乗ってひとりで出向くなんて。ベルナズ!あなた、自信過剰にもほどがあるわ」 めずらしく感情を露わにしながら、ジグナがたしなめ...
「わざわざ誘いに乗ってひとりで出向くなんて。ベルナズ!あなた、自信過剰にもほどがあるわ」 めずらしく感情を露わにしながら、ジグナがたしなめ...
夕方の陽射しが、朽ちかけた石柱をやわらかく照らしている。 乾いた風が通り抜けるたび、床に散らばった砂や小石がささやかにかすれる音を立てた。...
「それにしてもよ。なんで民衆は『自称、神』なんてのを簡単に信じちまうんだろうな」 両手を頭の後ろで組み、長椅子に腰掛けたベルナズがぼやく。...
「お嬢様…ご立派になられましたな」 レイヴィエ家に仕える執事、ノーウェンは燕尾服のポケットからハンカチを取り出すと目元を押さえた。