第三章 40
「生まれ出づる喜び――それも束の間の夢。刹那の美しさ 深き哀しみを宿す」 病室に穏やかな声が響く。 ゼルロズは花瓶から一輪の花を手に...
第三章 6
遠くで鳥の鳴く声が聞こえる。 南から穏やかな風が吹き、バルコニーからやわらかな光が差し込んだ。 のどかな昼下がり――になるはずだった。 ...
第二章 26
水平線に向かって日が落ちていく。 増援の依頼のためにゲイルード海上要塞を訪れたズィーグレが見たものは、巨大な獣魔の影だった。