変転の首都

🌐 Language / 言語

🇺🇸 [English Edition]

🇯🇵 [日本語版]


穏やかな昼下がりだった。
帝城の広間には十数人の聖女が集まっている。
それぞれが、武器を浮かべたまま静かに待機している。

張り詰めた空気。
誰もが異変の気配を感じ取っていた。
その静寂を破るように、広間の扉が勢いよく開く。

「報告します!」

息を切らした見張りの聖女が駆け込んできた。

「居住区に中型獣魔が出現!」

広間がざわめく。

「西の海岸では小型獣魔の群れを確認!」

さらに言葉を継ぐ。

「それと――北門付近で、聖職者らしき集団が儀式を始めています!」

三方向で、ほぼ同時に異変が起きていた。
パルゼアは居並ぶ聖女たちを静かに見渡す。

――街を分断するつもりか。
あるいは、その先に別の狙いがあるのか。

いずれにせよ、迷っている時間はない。

「ここにいる者だけで対処する」

間髪入れず、ひとりの聖女が前へ出た。

「居住区は私が行きます」

マルジナだった。
言い終えるより早く踵を返し、広間を飛び出す。

「油断するな」

短い言葉だけが、その背を追った。
パルゼアは残るふたりへ視線を向ける。

「海岸の群れを殲滅しろ。終わり次第、居住区へ向かえ」

「了解」

二人も迷うことなく走り出した。

広間には三人だけが残る。
パルゼアはゆっくりとバルコニーへ歩み寄った。

「ゼハインだ」

その一言に、二人の表情が引き締まる。

「街中に獣魔が現れ、同時に儀式まで始まった。偶然とは思えない」

風が赤い髪を揺らした。

「狙いは北だ」

パルゼアは空を見上げる。

「止めるぞ」

静かに告げると、バルコニーから空へ身を躍らせた。
二人の聖女も後を追う。
影は一直線に北へ飛び、帝都の空へ消えていった。


NEXT↓

絶空の緋剣
🌐 Language / 言語 🇺🇸 🇯🇵 ...

コメント

  1. 匿名 より:

    キャラクターの名前にリンクするやつオネシャス!

  2. 匿名 より:

    ロズタロトはなんか因縁ありそうな雰囲気ですねー
    今後明らかになることを期待してます

    • akima より:

      ロズタロトはフィデア出身なのですが、過去に恨みを持つ原因がありまして。
      その辺りも3章で各予定です!

  3. 匿名 より:

    マルジナ急いでー
    妹分がむちゃしてるよ

    • akima より:

      合流してからがベストだったんですが、いてもたってもいられなかったようで。

  4. 聖剣の目隠し乙女 より:

    獣魔を従わせた、という赤髪の聖女による証言。
    ゼハインは過去の登場初期から意図的に証拠を見せつけている。
    他の二人も驚いていない辺り、その場に居合わせている可能性が高い。

    • akima より:

      あんまり隠してないんですよね。
      ゼハインもっと掘り下げたいですが、そうするとメインストーリーが進まなくなるジレンマ…

  5. 山内禅定 より:

    新イラストいいですねぇ。
    3人が一枚のイラストに収まっているのが新鮮です。

    • akima より:

      そうですよね。
      ちょっと前の生成AIでは考えられなかったです。
      これだけキャラクターの造形を維持したままイラストを作れるのはアツい!