
奸臣の思惑
「ふーん、オーゾレスには逃げられたわけか。んで、俺になんの用だ?」 赤く短い髪が風に揺れる。 鉛色の空を背景に、渡り鳥の群れが城壁の上を...
「ふーん、オーゾレスには逃げられたわけか。んで、俺になんの用だ?」 赤く短い髪が風に揺れる。 鉛色の空を背景に、渡り鳥の群れが城壁の上を...
結晶核により強化された大剣型のブリッツ。 まだ一振りではあるが、その斬撃は空気を斬り裂き、ルジエリにさらなる力を与えた。 それでも――オ...
夜の診療所は、重たげな静寂に包まれていた。 灯明だけが闇をかき分けるようにゆらゆらと光を放ち、その下でふたりの聖女が向かい合っている。 ...
怒号にも似た咆哮をあげて、ブレアスが拳を振るう。 力がすべてのリガレア帝国でも、彼は対話の重要性を説き、力づくの正義を否定してきた。 だ...
高くそびえる天井の下、厳かな静寂に包まれた神殿の中央。 聖女帝パルゼアは司祭であるブレアスと対峙していた。
遠距離からは羽ばたきによる風と、羽弾。 近距離では鋭いくちばしとカギ爪。 距離に応じて攻撃を切り替えるケルゼオンに対し、ルジエリたちは劣...
「ここで間違いないわ」 丘に着陸させた魔導翼船から降りたマルジナは、バイザーをずらして目を細めた。
色とりどりの宝石が神気を集め動力源としての輝きを放つ。 魔導巨兵の駆動方法を応用した技術により、少数ではあるがリガレア帝国には空を飛ぶ...
「あなたと一緒にブリッツの開発ができるなんて光栄です」 ゼルテナ魔導研究所の所長を務めるセトラが爽やかに微笑んだ。
「なるほど。それで魔導巨兵の動力源である『結晶核』に目をつけたわけですか」 ヴェイダルが長いまつ毛を伏せた。