野望の崩落

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仲間は日に日に増えていった。

――赤髪の聖女が駐屯地を解放した。

その噂は国境を越え、大陸中へ広がっていく。
故郷を奪われた者。
理不尽な支配に怒る者。
天啓を受けた聖女たちは、一人、また一人とパルゼアのもとへ集った。

オーゾレスは彼女たちを迎え入れ、それぞれに役目を与えていく。

「北門はこちらに任せましょう」

「補給路は私たちが押さえるわ」

戦場で剣を振るうことは少ない。
それでも彼女の采配は的確だった。
パルゼアは軍を率い、オーゾレスは軍を動かす。

やがて、父を奪った国が見えてきた。

高い城壁。
幾重にも築かれた防壁。
巨大な魔導巨兵。
かつて誰も攻め落とせなかった要塞都市。

だが、その堅牢な城も長くは持たなかった。

聖女たちは城門を突破し、魔導巨兵を撃破していく。
三日と経たず、フィデア城は炎に包まれていた。
黒煙が空を覆い、悲鳴が街に響く。

パルゼアは鎧をまとい、城内を静かに歩いていた。
謁見の間。
玉座へ続く赤い絨毯には近衛兵が倒れている。

床に転がる剣へ、パルゼアは一瞬だけ目を向けた。
父を殺した兵士長と同じ紋章。

玉座の前には、豪奢な祭服をまとった男が立っていた。

「お前がゾルオネか」

男はゆっくりと少女を見据える。

「そうだ」

短い返事だった。
パルゼアは数歩、前へ進む。

野望の崩落

「父は最後まで、お前たちと話し合えると信じていた」

ゾルオネは眉をひそめる。

「……何の話だ?」

その一言で十分だった。
パルゼアは静かに目を閉じ、小さく息を吐く。

「そうか」

次の瞬間。
ゾルオネの体が音もなく沈んだ。

「ぐっ……!」

両膝が石床を打つ。
立ち上がろうとしても体は動かない。
やがて両手が床につき、額までもが石畳へ押しつけられた。
まるで罪を悔いる罪人のような姿だった。

「こ……これは……!」

念動力。

全身へ押しかかる圧力に、ゾルオネの筋肉が悲鳴を上げる。
その後頭部へ、硬い靴音が近づいた。
ゆっくりと頭が踏みつけられる。

「私は国を治めることには興味がない」

静かな声だった。

「ここはこれまで通り、お前が治めろ」

靴底に力が込められる。

「ただし、お前は今日から帝国の臣民だ」

ゾルオネの奥歯がきしんだ。

屈辱。
怒り。
殺意。

それでも指一本動かせない。

――覚えていろ、小娘が。必ず、必ず殺す!

燃え盛る城を背に、パルゼアは振り返ることなく歩き出した。

その日。
大陸最強と謳われた国は滅び、新たな帝国が産声を上げた。


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禁術の伝授
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コメント

  1. シチリアの風 より:

    ゾルオネが羨ましい。我々の業界ではご褒美です。
    冗談はさておきパルゼアは戦闘時にもヒールを履いているんですね。
    戦いにくくないのかと思いましたが大半は空を飛んでいるからいいのか。

    • akima より:

      リガレウムで作られたカッタいヒールです!
      実際ふんづけられたら相当痛そうですけど笑
      空中を浮いていることがほとんどなので、基本的に聖女のみなさんは好きな格好してます。

  2. 匿名 より:

    土下座させられるゾルオネくん。
    見た目の描写がほとんどないので立ち絵も欲しいです。
    10人で国を滅ぼせると考えたら聖女って恐ろしい存在です。

    • akima より:

      屈辱の土下座…
      立ち絵、作ってみます!
      フィデアも小国ですし、聖女って空も飛べて弾丸とかも念動力で弾けますから。

  3. 匿名 より:

    パルゼア
    ロズタロト
    ゼルロズ
    は決定としてあと七人が気になります。

    • akima より:

      建国時の初期メンバーですね!
      あとはオーゾレス。
      他はそのうち明らかになる…はず笑

      • 匿名 より:

        こうゆうのはいろいろと決めてから書いてるのですか?
        自分はノリで書いていくタイプなので気になりました。

  4. 匿名 より:

    はたして頭を踏みつける必要はあったのか・・?

    • akima より:

      うーん、ないんですがちょっとパルゼアも感情的になっていたのかも。
      力の差をはっきり見せつける意味もあります。

  5. 匿名 より:

    聖女の機動性と攻撃力の前には無力だった魔導巨兵は、並の獣魔に対してなら有効な戦力足り得るのでしょうか?
    リガレウムの様な強度を備えた軽量合金素材で造られた新型魔導兵に、粘液やガス状の不定形獣魔が憑りついて襲ってくると手強い気がします。
    天獣に比べれば雑魚には違いないですが。

    • akima より:

      そうですね。
      小型獣魔ぐらいなら倒せますし、人間の兵隊相手なら無双できるぐらい強いです。
      スライムみたいな獣魔がいたら恐ろしいですね!
      獣の姿が多いけど、そこにとらわれなくてもいいかも。

  6. 匿名 より:

    仮に魔導巨兵で聖女に対抗するとしたら、頑丈さで耐えて引き付けた所をショットガンの様な拡散する武器を使う位しか攻撃を当てる手段は無さそうですね。
    法力と反応する金属や宝石の小片や粉末を散布する事で法力を攪乱・乱反射させて命中率を低下させる新兵器とか。
    火器管制を必要とする有人魔導巨兵だとパイロットを念動力で捻り潰されて終わりでしょうが。

    • akima より:

      パワーはあるけどスピードがない、という聖女が得意とするタイプではあります。
      ショットガンのような広範囲を攻撃できる武器は脅威ですね!
      炎や電撃もいいかも。

      聖女は離れた場所から人の首を折ることもできるので、操縦席がある魔導巨兵は不向きですね。

  7. 匿名 より:

    火炎放射器はともかく魔導巨兵は電撃を放てるのですか?
    炎や雷は獣魔の特殊能力と思っていました。
    神気を扱う聖女も火焔や電撃を操れるとしたら戦い方も変わってきますね。
    新たに発見された宝石をBLITZに組み込むことで、炎の剣や氷の矢を放つ杖で戦力増強する展開があったり?

    • akima より:

      スタンガンみたいな武器は作れますね!
      それが有効かどうかというと…獣魔には通じないかな。
      聖女は炎や雷は使えないですね。
      でも炎を念動力で動かしたり、火種ごと投げつけたりはできます!