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🇺🇸 [English Edition]
🇯🇵 [日本語版]
水平線に向かって日が落ちていく。 増援の依頼のために海上要塞を訪れたズィーグレが見たものは、巨大な獣魔の影だった。
「交戦中かよ!これじゃ増援なんて頼めねえな…!」
ゆうに20メートルは超えるだろう。 巨体の半分は海に隠れている。 地の底から響くような咆哮をあげながら尾を振り回している。 灰色の鱗に覆われた大型獣魔だ。

短い黒髪の聖女が獣魔の周囲を飛びながら、強烈な斬撃を叩き込んでいる。 そしてもうひとり、ピンク色の髪をした聖女が遠間から援護射撃をしていた。
ズィーグレが海上要塞の屋上に向かって急降下する。
そこには赤く、長い髪をなびかせた聖女が立っていた。 薄暗い海の上でも目立つ赤い髪と、黒い鎧。 目の前の大型獣魔に対して身じろぎもせず、金色のバイザー越しに激戦を眺めている。 華奢な体つきには似合わない大きな盾がふたつ、周囲に浮かんでいる。
ズィーグレは彼女の傍らに降り立つと、手短に状況を伝えた。
聖女は視線を戦場に向けたまま、静かに聞いていた。 荒れ狂う大型獣魔と聖女たちの戦いとは裏腹に、返ってきたのは落ち着いた声色だった。
「――話はわかった。だが、見ての通り我々も暇ではない」
(やっぱり増援どころじゃないか。しかしまさか、こんな所で帝国のボスに会うなんてな……)
赤い髪の聖女は紛争にあえぐ小国をまとめ上げ、帝国を作った聖女帝パルゼアだった。
一国の主が最前線にいること自体が異常だ。
だが、大型獣魔が襲来する激戦地だからこそ、パルゼアはそこに立っている。
力を信望する者たちを率いる聖女帝こそ、先頭に立たなくてはならない。
その静かなたたずまいには歴戦の猛者だけが放つ圧力があった。
「それに、だ。ユゼルテスがいるなら増援は不要だろう」
パルゼアは手をあごに当て、何かを思い出すようにつぶやいた。
その視線がわずかに動き、戦場へと向けられる。
黒髪の聖女が振るった黒い刀が、獣魔の腕を斬り落とす。
断面から黒い血がほとばしり、あたりに絶叫が響き渡った。
体から離れた腕が海面に落ち、水しぶきを作った。
怒り狂った大型獣魔が身をよじり、海上要塞に向かって突き進む。
真っ赤に燃える目はパルゼアをとらえていた。
「お、おい! こっちに向かってくるぞ」
ズィーグレは反射的に地面を蹴って空中に浮かんだ。
そのまま2機の銃型ブリッツを左右に展開する。
大型獣魔の超硬質の外殻は、法力を込めた銃弾でもやすやすとは貫けない。
わかっている。それでも構えずにはいられなかった。
眼前の獣魔が尋常ではない怒気を放っている。
海中に沈んでいた尾が水面を割って跳ね上がる。
うなりを上げて空を切り裂き、パルゼアに向かって叩きつけられた。
ズィーグレは息を呑んで見守るしかなかった。
しかし、振り下ろされた尾は腕を組んだままのパルゼアの頭上で止まっている。
寸前で浮かび上がったふたつの巨大な盾が、打撃の勢いを完全に殺していた。
周囲に防御を支援した聖女の姿もない。
「ウッソだろ……!? あいつ、単騎で大型獣魔の攻撃を防いだのか?」
大型獣魔の尾の一撃は、本来なら人間などひとたまりもない。
重装の聖女が軽々と吹き飛ばされる姿を、ズィーグレは何度も見てきた。
微動だにせず受け止める人間が存在することを、にわかには受け入れられない。
「怒りと悲しみ…そのすべてを」
ささやくように静かで、悲しみを帯びた声。
黒髪の聖女が獣魔の背後から太刀を振り上げる。
「――抱いて死ね!」
刃鳴りとともに振り下ろされた刃は、大型獣魔の太い尾を根本から断ち切った。
絶叫とともに獣魔がのけぞる。 その姿は天を仰いでいるようにも見えた。
まだ痙攣している尾を念動力で払い除けると、パルゼアはふたつの大盾とともに空中へ浮かび上がった。
手のひらで凝縮された法力が光を放つ。

重なりあった大盾が弾丸のように回転しはじめた。
パルゼアが手をかざす。
超重量の盾は銃口から射出されたかのように高速で獣魔の眉間へと突き進んでいった。
何かが破裂するような音がした。
盾型ブリッツが硬い外殻で覆われた獣魔の頭部を貫いた音だ。
糸の切れた人形のように、仰向けの状態で巨体が海へと倒れ込む。
水しぶきが海上要塞の城壁を濡らしていく。
「ズィーグレといったな」
海の底へゆっくりと沈みゆく獣魔を見下ろしたまま、パルゼアが言った。
「法王に伝えておけ。もしヴァルネイの聖女たちが敗れたなら―― この私が直々に相手をする、とな」
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コメント
やっと出てきたw
次からはいっぱい登場するんですよね?
紹介ページをアップしてからずいぶんかかってしまいました…
次章の主役なのでいっぱい出てきます!
グエイジスくんボコボコで草
紹介された時は強キャラぽかったのに・・・
唯一の大型獣魔として強キャラっぽさを出してみたんですが、ちょうど良かったので…
聖女全体でもベスト10に入る子らばっかりなので、グエイジスくんぐらいならボコせてしまいます。
防御だけじゃなくて攻撃力も最強ですねこれは
(ディフェンダーとは)
一点気になることがありまして
グエイジスは三人がかりなのでしょうか
ゼルロズ
ロズタロト
パルゼア
もし三人で大型獣魔を倒せたのなら他の聖女たちと比べてもう一段強く見えます
攻撃こそ最大の防御という言葉もあるので、それを体現していくスタイルみたいです笑
グエイジスは3人で倒しました。
全員90以上なので最強クラスの3人ですね。
パルゼアかっこいい。
マント?みたいなのは加工途中ですか?
マント…?あっ!
加工する途中のレイヤーがそのままになっていましたm(_ _)m
ご指摘ありがとうございます。
修正しました!
すごい自信。この三人とエルゼナグの勝負も見てみたい。
聖女3人は結構厳しい条件ですが、このメンバーなら勝てるかも。
ディフェンダーなのに攻撃もアタッカー顔負けじゃないですか!
もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな。
盾で頭骨ぶち抜いてるし大型の獣魔でもひとりで倒せるはず。
さすがに単独は厳しいけど…というところですね。
法力が切れてしまうというか。
盾による攻撃も弱ってないとクリーンヒットはしてないので。
法王はディメウスだよね。
どこで会ったんだろう。
ユゼルテスのことも知ってるみたいだし実はヴァルネイ出身とか?
法王ディメウスは防衛圏を作る際にリガレア帝国、エザリス王国の元首に聖女を派遣する約束を取り付けています。
その時に会っていますね。
ユゼルテスは自分に比肩する重念動力を持つ聖女として知っています。
パルゼア自身はリガレア帝国として併合された小国の出身になります。
ところで三章はいつはじまるのでしょうか?
今頑張って書いております!
2話ぐらいはいけました。
姉さん強すぎます。
三国のトップの中では最強かなっ
聖女の中でもかなり強い方ですね。
3人とも強みが違うので比較が難しいですが、優勝候補ではあります。
悠然としたたたずまいから聖女のトップに相応しい威厳が感じられ好印象です。
弾丸の様にシールドを射出する描写を見るに、範囲が狭いとされる念動もアタッカーと同等以上の射程がある様に見えます。
岩盤を掘削するブレードを取り付けると、どんな強固な相手でも貫けそうです。
力が正義な帝国なので性格もそんな感じになってます。
回転させて威力を上げつつ射出!
…までは念動力で操作して、その後は念動力の範囲外になります。
なので後で拾いにいかないといけませんね笑
作中ではゼルロズが念動力で拾ってくれたと思います。
ブリッツが弾丸のようにってブリッツは弾丸でしょうよ!!!
書きながらなんかヘンだなと思いましたが、そのまま書いてみました笑
実際にパルゼアがエルゼナグと戦った場合を考えてみました。
パルゼア 物理攻撃を防御。たまに攻撃。
ゼルロズ 隙を見て斬撃。
ロズタロト 周囲を飛び回って囮役。
オーゾレス 三人に法力を分けながらバフ。
これで勝てそうな気がします。
憑魔術の影響なしのフルパワーエルゼナグだったらきついですか?
もし戦ったら大体そんな役割になると思います!
ロズタロトは囮だけでなく攻撃支援もできますね。
全力を出せる状態のエルゼナグならきついかも。
勝てたとしても1~2人は大怪我、もしくは死ぬかもしれません。
ゼルロズ「最後の一撃は、せつない」
パルゼア「止めを刺した後は、よくそのフレーズを使うようになったな」
ロズタロト「最近は巨像の伝承にハマっているらしいのよ」
ゲームのキャッチコピーは素晴らしいものが多いですね。
心に残るというか。
「どうあがいても絶望」もショッキング。