🌐 Language / 言語
🇺🇸 [English Edition]
🇯🇵 [日本語版]
「いずれにせよ、正面から戦うべきではない」
静かな声が聖堂の一室に響いた。
大理石の円卓を囲むように数人の聖女が座っている。
窓の外では朝日が昇り始めていた。
「それは我々が決めることだ」
即座に返したのはユゼルテスだった。
長椅子に深く腰掛けたまま腕を組んでいる。
巨大な戦槌が壁際に浮かんでいた。
「敵がいるなら叩き潰す。それだけだ」
法王は小さく息を吐く。
「相手は普通の獣魔ではない」
昨夜届けられた報告。
封印の獣魔の復活。
そして、ギルゼンスと獣魔の融合。
その内容を思い返すだけで胃が重くなる。
「だから何だ」
ユゼルテスは眉ひとつ動かさない。
「いやいやいや」
ファズニルが慌てて割って入った。
大げさに両手を振る。
「相手めちゃくちゃデカかったッスよ!? 熱線で地下神殿に大穴を開けたんスから!」
「ちょうど退屈していたところだ」
話にならない――
ファズニルは助けを求めるようにアムネズを見る。
だがアムネズは黙ったままだった。
法王が口を開く。
「海上要塞に救援を要請する」
室内が静かになった。
「聖女たちの到着まで時間はかかる。だが勝率を上げるにはそれしかない」
「それまで待つのか?」
ユゼルテスの声が低くなる。
銀色の短髪が小さく揺れた。
「相手が眠っていてくれれば、だが」
法王は正直に答えた。
保証などどこにもない。
今この瞬間に目覚めても不思議ではないのだ。
重苦しい沈黙。
その時だった。
「なら……ちょっとだけ、様子を見に行くってのはどうスか?」
ファズニルが言った。
全員の視線が集まる。
「起きそうなら足止めする。寝てるなら様子見する。それでいいんじゃないッスか?」
「それなら私が行く」
アムネズが立ち上がる。
「アム姉、怪我してるじゃないッスか!」
ファズニルが頭を抱える。
「問題ない」
即答だった。
アムネズはまっすぐ法王を見る。
「封印を壊したのは私だ」
静かな声。
だが誰も反論できない。
「この件には責任がある」
再び沈黙が落ちる。
こうなっては、誰に何を言われても出撃するだろう。
ファズニルはアムネズの頑固さをよく知っていた。
「決まりだな」
ユゼルテスが立ち上がる。
壁際の戦槌が、寄り添うように浮かぶ

ユゼルテスは靴音を鳴らしながら去っていく。
歴戦の聖女が見せる背中は、高揚しているようにも見えた。
↓NEXT

コメント
聖女の意識で獣魔を制御できているか確認する前に攻撃を進言するユゼルテスは中々に脳筋な所がありますね。
もし融合の影響で獣魔が大人しく中立の存在になっていたら敵対する事になります。
眠っている間に最大火力の先制攻撃で仕留め切れれば問題無いですが、感応力を得た事で敵意の接近を鋭敏に察知して奇襲は無理そうです。
力こそパワーを体現する方なんです!
そういう意味ではリガレア帝国寄りなんですけども。
獣魔の強さは身にしみてわかっているので、聖女たちは取り込まれたと判断しています。
助け出せるかもしれない…みたいな気持ちもなく、一緒に倒してしまうつもり。
冷たくも見えますけど被害を大きくしないために感情をはさまないようにしてる聖女ですね。
武闘派すぎて草
やる気満々やん
みんなで袋叩きにするんじゃイカンの?
大型獣魔と戦える聖女が決まってるなら仕方ないけど
そうですね、ユゼルテスのハンマーは対大型獣魔専用みたいなとこありますので燃えてます。
エルゼナグは体長が25メートルありますので小さい銃や槍、レイピアみたいなブリッツを使う聖女ではほぼダメージが通りません。
逆に、大剣や槌を持つ聖女は小さくて素早い小型~中型獣魔はニガテだったりします。
法王ニキ聖女たちにはあんまり影響力なさそう
タメ口だし
みんなから一目置かれてはいるんですが、戦闘に関しては前線に立つわけじゃないのでそこまで発言に重みがない感じですね。
連投失礼
もう師匠のイゼよりアムネズの方が強いっぽい
天獣、エルゼナグとの戦いで経験を得ましたし、強いですね。
でも単純な剣技ではイゼの方がまだ上だったりします。