ローブが潮風に吹かれ、たおやかに揺れる。
絹のような光沢を放つ髪は、男の魂を象徴しているかのように輝いていた。
男は海沿いにある石造りの小屋の扉をくぐると、手に下げていた鞄を床に放り投げる。
分厚い皮革で作られた大型の鞄の中で、金属が触れ合う鈍い音がした。
「助かるわ、ラージェマ。自分で取りに行っても良かったのだけど。まあ、貴方の仕事は『お使い』ですものね、ふふ」
簡素な部屋にひとつだけ置かれたベッドの上に、薄衣を着た女が寝そべっている。
半透明の衣の奥で、褐色の肌が妖しく光を返していた。
熟れすぎた果物のような甘い匂いがたちこめている。
ラージェマと呼ばれた男は、女の顔を見ようともしなかった。
「図に乗るな。今は俺とお前の利害が一致しているだけのことだ」
「うふふ、こわいこわい。さて、貴方にお礼をしなきゃね。あいにく、身体で払うぐらいしかできないのだけど」
そういって女はニヤニヤと笑いながら膝を開いた。
ラージェマは窓の外に目を背ける。
「獣魔と同衾する趣味などない」
「くっふふ…それも貴方が封じた獣魔よね。こんな形で再会するなんて感動的だわ」
女はベッドの上に座って胸に手を当て、陶酔しきった表情で天井を仰いだ。
喉の奥から押し殺した笑いが漏れる。
「この子はわたしの中で完全に混ざり合い、調和しているの。恐れる必要はないわ」
ラージェマは振り返り、女を睨みつけた。
端正な顔が怒りに歪んでいる。
「人間どもは力をつけすぎた。お前も例外ではない。目に余るようなら粛清する」
「へえ~、できるかしらね、今のわたしを。ぷっ、ふふふっあっははははは!」
耳障りな嘲笑を背に、ラージェマは小屋を出て砂浜から海を見た。
水平線にうっすらと、人間たちが建造したゲイルード海上要塞が浮かんでいる。
イオクス様。
これが…こんなものが貴方の認めた調和なのですか――
神に与えられた土地を、人間たちは好き勝手に破壊し、利用し尽くしている。
人間の都合で海も山も汚染されていく。
ゴミどもめ――
かつて強大な獣魔を地下深くに封印した、あの時のように。
ラージェマの胸中に昏い炎が燃え盛っていた。
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コメント
>そういって女はニヤニヤと笑いながら膝を開いた。
これだけで誰かわかるの草
おかえりなさい!
一番ややこしい聖女が帰ってきました!
これから活躍してもらいます!
くそ売女ーッ
生きとったんかワレ!!!
生きてました笑
もっと妖しくなって復帰!
クソ売女はサローザがベルナズをなじる時に使った言葉だったりします
聖女皇サマは「変態女」が公式(公式とは)
公式!?
一応聖女たちの共通認識ではあるみたいです笑
初っ端から情報量が多すぎるでしょうがw
誤:大群で襲いかかってきた獣魔を倒す話
正:御使いのラージェマと聖女皇さまが強力ダッグ
そうはならんやろ・・・
イオクスの手下(御使い)が登場したということは今後アズトラやゾルフレッドの御使いも出てくるんでしょうか。
もしやゼハインも御使いだったとか。
大群で獣魔が押し寄せてくるのは本当なのでセーフ!
このふたりはタッグバトルするほど打ち解けてはないのですが、協力関係にあります。
イオクスの御使い以外にももちろんいます!
じきに登場する予定となっております。
誘惑に乗らないだと・・・?
ラージェマは硬派な男なんですかね。
自分もお誘いされたい(何
ラージェマは人間を下に見てますので…
そもそも御使いは繁殖行動を取るのか!?
かつてイオクスの御使いが封じたエルゼナグ。
よもやギルゼンスの精神が勝利して、あまつさえ吸収してしまうとは。
人間の体のまま獣魔の力を利用する事は出来るのでしょうか?
あるいはエルゼナグへの変化を必要に応じて自在に行うのか。
御使いのラージェマは意外と人間臭い思考をしていますね。
瀕死だったエルゼナグはギルゼンスの中で生きることになりました。
人間の体のまま、ある程度の獣魔の力を使えてしまいます。
なので、聖女と獣魔、どちらの力も使える形ですね。
リンカージェよりもより深い融合を果たしました。
ラージェマは獣魔の封印を解いたり、従わせたりと勝手ばかりする人間に辟易している様子です。
てことは今度のギルゼンスは火を吐く!?
炎は吐きませんね笑
絵的に面白そうですけども!
手から出すことは可能になってます。
マナグロアは発電器官を損傷すると電撃が著しく弱体化していましたが、ギルセンスは体内に発熱器官を宿したのでしょうか?神気の操作のみで魔法の様に炎を出せる?
ラージェマの鞄の中の金属は海中に没したブリッツの様ですが、あのサイズの銃火器が4挺も収まる鞄の収納力が意外と凄いです。
潜水装備の設定がありましたが、御使いは濡れる事無く水圧や抵抗を受けずに水中活動を行えそうですね。
エルゼナグが体内に貯蔵している可燃性の気体を出して、炎を噴射することができるようになりました。
そしてラージェマが持ってきたのは新しいブリッツになります。
これはヴェイダル博士が依頼を受けて新調したものになります。
御使いは聖女よりも強力な念動力・感応力を使えるので水中でも移動はたやすいですね!
ブリッツによる傷が多いから再生に時間はかかるとして、エルゼナグにドラゴラム出来るようになったら意識が分散して倒された頃より強くなりそうですね。
念動防御と鱗で射撃を弾き、念動力で捕まえて回避行動を封じ、追尾火球を吐き出す。
ラージェマ「獣魔と同衾する趣味などない」
ギルゼンス「マナグロアやダルガロスと交わると、どんな子供が生まれるのかしら?」
ギルゼンスは○○に目覚めてしまう?
意識が分散してメダパニ状態だったころよりも強いかもしれません。
単純な腕力や火力はエルゼナグの方が遥かに上ですが、念動力・感応力も使えますので。
獣魔と人間の間には子どもは生まれないんです、獣魔は生殖行動以外で増えているんです。
でもリンカージェのように、獣魔の因子を持った人間との間には子どもも生まれますね。
熟れすぎた果物のような匂いて笑なんかムラムラしてきたぞ!これじゃあギルゼンスさまの思う壺じゃないか
聖女だったころよりカロリー消費が激しいため、甘いものを大量に摂取しています。
果物がお好みの様子!
獣魔が体に宿っているからエネルギー消費が激しくなって前より早くお腹が空くようになった。
果物は消化しやすいくて糖分が多いから効率がいいんでしょう。
すいません、コメント移動させていただきましたm(_ _)m
部分的とはいえエルゼナグと共存するためのエネルギーが必要になったので、たくさん食べています。
桃みたいな果物が特に良さそう。
生きてるだけじゃなくてエルゼナグと融合してパワーアップしてるのが最高。引っかき回してくれそう(笑)
転んでもタダでは起き上がらない界隈の聖女です。
いろいろと悪さする予定。
【朗報】変態女、やっぱり生きていた
しかもこの口ぶりだと御使いと同等かそれ以上に強くなってるっぽい。。
今は体を休めている状態です。
御使い以上ではないですが、いい勝負ができるほどにはなっています。
てことはギルゼンスがアズトラの聖剣を使ったら勝てる。聖女の力+獣魔の力+神器ならいけるでしょうな。
するどい!
それなら勝てるかもしれません。
ただ、ラージェマが神器を持っていたら…
パシらせてそのお礼にオマタを開くなんてはしたない!ギルゼンスが性的なことに執着するのには理由があるんでしょうか?それとも単純に性欲が強いだけ?
単に性欲が強いというのも正解ではあります笑
ギルゼンスは養父から虐待を受けたことで自分の体が汚れてしまった、と潜在的に感じています。
その記憶を上書きするために、複数の人間と関係を持っています。
また、回数を重ねることで「自分が養父にされたことは特別なことではなく、日常的に行われていることだ。大したことではないのだ」と思い込みたいのかもしれません。
裏設定が重すぎる・・・
ちょっと重たい話が続いたので、4章はバトルメインで進めてみました。
こんなに人間のことが嫌いなのになんで獣魔を封印したのか。神様に命令されたからなのかな。
獣魔を封印したころはそこまで嫌いでもなかったんです。
完全に下に見てはいたんですが、憐れむべき弱い生き物、みたいな感じですね。
そこから神への冒涜とも取れる決定的な事件があり、人間のことを弱いくせに傲慢な不届き者たち、と感じるようになりました。
ヴェイダル博士直々に造り出したブリッツは従来より性能が高そうですね。
ギルゼンスの法力ならファンネルやビットを使いこなせそう。
ラージェマ「……何をしている?」
ギルゼンス「獣魔と調和して色々と心境の変化があったのだけど、自然の中で動物を相手にするのも悪くないわね」
ヴェイダルさんは神具であるアズトラの宝剣を研究しまくってますので、今度のブリッツも次世代型の高性能タイプです。
ファンネルはロマン…
念動力で銃をたくさん操作すれば再現できるかな??
ゼハインは借りの体っぽいことを言っていたけどラージェマは人間の姿をしているだけなのかな。それとも御使いとして人間と同じ世界にいるのか。
ラージェマは御使いとしてこの世界に顕現しています。
仮の姿じゃなくてガチ本体ですね。
ジレミュー「プロローグとか良いから、早く私の活躍を華やかに描くの!レイズウォルより格好良く!」
ダルメザ「序章は大事だよ。壮大な物語なら特に」
ジレミュー「ダルメザ姉様♡確かにオープニングがある方が、より私の大活躍が引き立つ気がするの♪」
ダルメザ「そうそう。食事の前には『前菜』のバゲットとオードブル、スープにサラダとフルーツのセットは欠かせないからね。
さっき出撃で中断された分は、1日5回の食事回数にはノーカウント。
お茶のティースタンドとおやつ、趣味の食べ歩き、作戦中携帯食と間食用バタール、デザートは別腹で」
ジレミューはもう少ししたら出てきますので…
もうちょっと待ってほしい!
レイズウォルにも見せ場は作ってあげたい気持ち。
ダルメザはめっちゃ食べますからね笑
一日五回…そしてその一回も多そう!
ジレミューは可愛いですが、プルゼリフよりレイズウォルの方が好みだったりします。
対大型獣魔特殊部隊の活躍に期待大!
ドーラ一家の「食事は一日5回、水は節約しな」が元ネタです。
レイズウォルのメンバーは今回大活躍しますね。
大型獣魔以外だとあんま出番ない子たちなんで…
元ネタなるほど、あのパワーは食事5回からきてたんだ…!
はっきり死んだと書かれていなかったのでまた登場するのではとは思っていました。次まで引っ張られたら今さら…ってなるのでこんぐらいで復帰してよかったと個人的には思います。サローザはダメだったのかな。幸せになってほしかった。
あまり章をまたぐと薄れるかなということもあり、急遽登場しました。
実はラージェマメインの話にしようと思っていたのに、勝手に出てきたというか…
サローザの最期は幸福感に包まれていたので、うーん。
エルゼナグより強いラージェマとエルゼナグを吸収したギルゼンスが襲いかかってきたら聖女側全滅やん
ラージェマは単体でエルゼナグを倒したわけではないんです、実は。
天獣と一緒に戦った感じですね。
ふたりが同時に攻めて来られるとさすがにマズイことになりますが、そこまで仲良しじゃないみたいです。
ラージェマはいつか粛清しようと思ってますし。
ギルゼンス「エルゼナグと融合してから、食欲と性欲が止まらないの。ベッドの上で大惨事世界大戦を始めない?」
ラージェマ「食欲と睡眠欲で我慢しておけ」
ギルゼンス「私の美貌に性戦(ジハード)したがらないという事は…お気に入りの男娼とカップリングしてあげましょうか?」
ラージェマ「神器ぶち込んで封印するぞ」
ジハード!
果たして御使いにも欲はあるのか!?
ギルゼンスは融合後は果物の盛り合わせを食べまくっているようです。
ダルメザがアップを始めました!
ラージェマとギルゼンスとエルゼナグこの三者で誰がどう強いのかがわかりません。あえてぼかしているならそれでいいですがそうでないならわかりやすく書いて欲しいな。
単体でというならエルゼナグ、ラージェマ、融合した聖女。
の順番ですね。
でも力の差はそんなに大きくなく、どっちが勝っても別におかしくないレベルです。