布教の礎
教皇庁の大広間に、重苦しい沈黙が漂っていた。大司教ザクネルの鋭い眼光が、目の前に立つ公爵ランゼルトを射抜いていた。
教皇庁の大広間に、重苦しい沈黙が漂っていた。大司教ザクネルの鋭い眼光が、目の前に立つ公爵ランゼルトを射抜いていた。
避難場所である大聖堂の地下室で、ザクネルはため息をつきながらベッドに腰を下ろした。 大聖堂の地下には有事の際に避難所として利用できるよう、...
「お~? オッサン元気じゃん」 ヴェラム大聖堂前で住民の避難誘導を行なっていた聖女ウェレジアは、走り寄る赤い影に気づいた。 老婆に手を貸...
もはや雷といってもよいほどの電撃が首都バトリグに降り注いだ。 アズトラ教の神殿や教会が多く建設されている街の北側には、黒い煙が立ち昇ってい...
聖女リズレウは幼いころから教会で暮らしていた。 両親は戦争で死んだらしい。
アズトラ教の教皇庁を統括する司教たちの長であり、国王であるヴィゾアに次いで権力を持つ男。