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🇺🇸 [English Edition]
🇯🇵 [日本語版]
風が冷たい夜だった。
研究所の窓には灯りが残っている。
研究所長は机に向かい、山積みの資料を読み返していた。

不意に扉が叩かれる。
こんな時間に来客など珍しい。
首をかしげながら扉を開いた瞬間、研究所長の背筋が凍った。
白いドレスの女が微笑んでいた。
共和国を率いる聖女皇。
その後ろには、長身の聖女が静かに立っている。
「こ、これは……ギルゼンス様」
研究所長は、あわてて頭を下げた。
「少しいいかしら」
柔らかな声だった。
だが断れるはずもない。
応接室へ案内すると、ギルゼンスは長椅子へ腰を下ろした。
長身の聖女は部屋へ入らず、入口の前で待機している。
「研究の進捗を聞かせて」
穏やかな口調。
研究所長は資料を抱きしめる。
嫌な予感がしていた。
「以前お命じになられた件ですが……」
喉が渇く。
心臓の鼓動がやけに大きく聞こえた。
「獣魔と人間の融合について、ある程度の結論が出ました」
聖女皇は静かにうなずく。
続きをうながすように。
「通常の人間では不可能です」
研究所長は言った。
「精神が侵食されます。人格は崩壊し、いずれ獣魔の一部になるでしょう」
沈黙。
白い指が肘掛けを軽く叩く。
「でも?」
研究所長は顔をこわばらせた。
「聖女なら話は別です」
空気が変わった気がした。
「神の力を持つ者なら、自我を保ったまま融合できる可能性があります」
静寂。
ギルゼンスは何も言わない。
ただ微笑んでいた。
それが恐ろしかった。
研究所長は悟る。
この女は本気だ。
学術的な興味ではない。
実行する気だ。
背筋を冷たい汗が流れた。
――融合など狂気だ。
もし実現すれば、国そのものが揺らぐ。
誰かが止めなければならない。
研究所長の指先が懐へ伸びる。
小さな短銃。
護身用だ。
この距離なら外さない。
目の前の女さえ消えれば。
共和国は救われる。
そう信じて引き金へ指をかけた。
その時だった。
「ありがとう」
聖女皇が立ち上がる。
優しい笑顔だった。
まるで功績を称えるように。
研究所長は動こうとした。
しかし動けない。
指一本。
まばたきひとつ。
身体が言うことを聞かなかった。
「あ……」
声だけが漏れる。
全身が凍りついている。
違う。
凍っているのではない。
支配されているのだ。
聖女の持つ、念動力によって。
研究所長の右腕がゆっくり持ち上がる。
本人の意思とは無関係に。
短銃を握ったまま。
銃口が自分の顔へ向く。
必死に抵抗する。
だが止まらない。
「あっ……!」
助けを求めるように目を向ける。
だが入口に立つ聖女は微動だにしなかった。
ギルゼンスは微笑む。
「安心して。あなたの研究は無駄にならないわ」
優しく語りかける。
そして、重たい銃声が2度、鳴った。
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コメント
人を殺すことなんてなんとも思ってないですねー聖女皇サマ。今ところは時系列にそって更新されてるってことでいいんですかね?
そうですね、自分がやろうとしてることのためならどれだけ犠牲が出ても気にならない人です。
共感性が全然ないんですね。
できるだけ時系列に合わせてますが、若干前後するかもです!
ルカヴィ社は法王庁が支配してるんですよね。研究所の所長のバイアンがギルゼンスを撃とうとしたということは法王がギルゼンスを敵視してるからですか?
細かい設定まで見ていただいて嬉しいです!
バイアンは法王寄りですね。
法王ディメウスはギルゼンスのことを敵視までいかないですが、懐疑的に見てます。
優秀な能力とまともな判断力を併せ持ったバイアン所長は立ち絵が出る間も無く消されてしまいましたか…。
サイコパスなギルゼンスは自分に都合が良い世界を創造する為に、まだまだあらゆる非道を行う気がします。
退場でございます…
立ち絵どうしようかな笑
ギルゼンスは暴走してますが、どこか止めてほしいと思っている部分もあったりします。
すぐ退場する大司祭にも立ち絵があったので、名前付きキャラに敬意を表して言ってみましたが余程の重要人物でもない限り端役の男キャラのイラストは無くて良いと思います。
ここまで来るとギルゼンスに残された良心の欠片に驚きです。
そういえば彼も割りと早かったですかね。
物語的にはまあまあ重要なキャラなので…
ギルゼンスも本当はこんなやり方が正しくないのは心のどっかではわかってるんですが、それ以外の心が塗りつぶしている感じですね。
研究所のえらいさんまで殺してしまって大丈夫なんでしょうか
ギルゼンスのやり方だと有能な味方まで減っていきそうですけど
みんなで幸せになるという概念は薄いですね。
利用して用がすんだら消してしまう。
その辺りは徹底してます。
感応力で感情の変化を読み取られると嘘も通用しない、情報の駆け引きでも聖女が圧倒的に有利ですね。
ザルビエ社、ルカヴィ社共に優秀なトップが不在となりましたが、研究は滞りなく進歩を続けられるだけの優秀な人材が揃っているのでしょうか。
リガレアのザルビエ社は資金力、技術力、ヴェイダル博士の画期的な見識から知見を得た後継者たちが研究開発分野を牽引していくイメージはあります。
ポーカーとか強そうですね笑
両社は研究員がたくさんいるので大丈夫です。
国から補助金も出ていたり…
ヴェイダル博士の後継者たちも活躍しております。
ただ、ヴェイダル博士もリガレア帝国の端っこで現役の研究者としてがんばってます。