地下神殿へ

「ねえ、アム姉はここが何のために作られたか知ってます?」
ヴァルネイ共和国のはずれにある地下神殿へと続く道で、ファズニルが問いかける。
手に持った杖で地面をコツコツと叩いた。

「さあな」
先頭を歩くアムネズが、振り返りもせずに返す。
感応力を働かせ、周囲を警戒しながら歩いている。

「たしか……ふぁ、ヤバげな獣魔が封印された場所じゃなかったっけ?」
銀色の長い髪を揺らして、ズィーグレが欠伸をしながら言った。
だらだらと歩いてはいるが、2機の機関銃型ブリッツは油断なく両脇に浮いている。

「そうっすよ! 封印されてるとはいえ、大丈夫なんすかね、ウチら3人だけで」

慧神イオクスの御使いが凶悪な獣魔を封じたという、地下神殿ガルティラ
誰も近づかないこの神殿の調査を、ギルゼンスはアムネズたちに命じた。

「あなたは私とは正反対ね。だからこそ信頼しているわ」
出発前、ギルゼンスにかけられた言葉をアムネズは思い返していた。

近接戦闘において並ぶもののいないアムネズ。
2機の機関銃型ブリッツを扱い、抜群の火力を誇るズィーグレ。
高い攻撃支援能力を持つバッファーのファズニル。
この3人の戦力なら大型獣魔とも十分渡り合える。
つまりそれは、相応の脅威がこの地下神殿に潜んでいることを意味していた。

「ま、なんとかなるでしょ。あたしとアムネズがいれば」
「なんすかそれ~! ウチは戦力外ってこと? ズィーグレが危なくなってもバフらないっすよ」
アムネズは通路に響くふたりの声の大きさに、思わず眉をひそめた。
ただし、無駄話ができるのはふたりが豊富な戦闘経験を持っているからであり、リラックスできている証拠でもある。

————このまま何もなければいいがな。
アムネズが立ち止まる。
地下へと続く階段の奥から、重苦しい空気が流れ込んでくる気がした。

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光より出でし者
地下をどれほど降っただろうか。 アムネズたちは中央に祭壇が設けられた広間にたどり着いた。

コメント

  1. 匿名 より:

    アムネスってそんなに強いんですか?
    近接戦闘において並ぶもがいないということはアタッカー最強?
    それとも国内に限っての話ですか?

    • akima より:

      そうですね、ヴァルネイ共和国のアタッカーに限定したら、ということになります。
      3国だと現時点ではベスト3に入れるかどうか…みたいな感じでしょうか。

  2. 匿名 より:

    ヴァルネイ共和国のはずれってどこらへんなんだろう?(^_^;)
    地図もいつか作って欲しいです!

    • akima より:

      ご要望ありがとうございます!
      地図は内々では作っているので、一度まとめてから公開したいと思います。