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🇯🇵 [日本語版]
「アムネズが上手くやってくれたみたいね」
雲海を見下ろしながら、ギルゼンスは満足げに微笑んだ。
その視線の先には、黒い巨影が浮かんでいる。
復活した獣魔エルゼナグ。
地下神殿に封じられていた伝説の存在だった。
「あれが……」
サローザは息をのむ。
遠目に見てもわかる。
あれは今まで戦ってきた獣魔とはまるで違う。
巨大な翼がゆっくりと動くだけで雲が裂ける。
黒い鱗の隙間では赤い光が脈打っていた。
獣魔がこちらを見た。
それだけで全身が総毛立つ。
「素晴らしいわ」
ギルゼンスは笑った。
恐怖ではない。
歓喜だった。
「ようやく見つけた」
銀色の火砲が周囲に展開される。
サローザも狙撃銃を構えた。
その直後。
獣魔が大きく息を吸い込む。
赤い光が喉元に集まった。
「来るわ」
熱線が放たれた。
空そのものを焼き裂くような閃光。
ふたりは左右に分かれて回避する。
爆音。
蒸発した雲が巨大な渦を描いた。
ギルゼンスの砲撃が獣魔の胸を打つ。

サローザの狙撃も続く。
しかし、獣魔は動じなかった。
黒い瞳が静かにふたりを見下ろしている。
まるで小鳥でも眺めるかのように。
「最高よ」
ギルゼンスの声が弾んだ。
「あなたなら世界を変えられる」
その瞳は獣魔しか見ていなかった。
サローザはそっと目を伏せる。
そして懐から小さな像を取り出した。
すべては準備できている。
「サローザ」
ギルゼンスが振り返る。
「お願いできる?」
「もちろんです」
迷いはなかった。
ずっと前から決めていたことだ。
獣魔が咆哮する。
炎をまとった巨体が迫る。
「怖くはない?」
不意にギルゼンスがたずねた。
サローザは小さく笑う。
「怖くありません」
「どうして?」
「ギルゼンス様と一緒だからです」
風が吹く。
銀色の髪が揺れた。
しばらく沈黙が続く。
やがてサローザは静かに言った。
「最後に、抱きしめてください」
ギルゼンスは何も言わなかった。
ただ優しくサローザを抱き寄せる。
温かかった。
ずっと憧れていた腕の中だった。
サローザは目を閉じる。
この瞬間だけで十分だった。
もう何もいらない。
乾いた銃声が響く。
ギルゼンスの肩から血が散った。
同時にサローザの胸にも赤い花が咲く。
ギルゼンスの身体が強張る。
「……え?」
理解が追いつかない。
サローザは抱きしめる力を強めた。
念動力がギルゼンスの身体を縛る。
「サローザ……?」
震える声。
サローザは微笑んだ。
涙が頬をつたう。
「ごめんなさい」
その時――獣魔の爪がふたりを呑み込んだ。
サローザの懐で像が強く輝く。
まばゆい光が空を染め上げた。
世界から色が失われる。
光――ただ光だけがあった。
やがて発光は収まる。
雲海の上。
そこには巨大な影だけが浮かんでいた。
黒い翼。
脈打つ赤い紋様。
長い沈黙。
その瞳は静かに閉じられたままだった。
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コメント
てっきりサローザが混ぜられるのかと思ったらまさかの裏切り。いやサローザも融合しているから犠牲にはなっているのか。エルゼナクと融合してでもギルゼンス様と一緒にいられるからハッピーエンド?続きがあるなら早めのアップをお願いします!見上げているファズニルたちがどう思っているのか知りたい。
融合はするんですが最後にギルゼンスの予想を超える行動に出る…。
最後に命令よりもギルゼンスと一体化することを選びました。
サローザ的にはハッピーエンドかもしれません。
続きはまだストックがなくて…頑張ります!
予想よりエグい幕引きで草
これ念動力とかは引き続き使える?
もし使えたら誰も勝てないw
ま、まだ続きます2章!
幕引きはもう少し先なんです。
念動力は限定的に使える感じです。
意識がハッキリ残っているわけではないので。
サローザ思いの外大活躍❕❕愛しの聖女皇とお幸せに!
手駒ではなく自分が獣魔と融合してもなお、ゼタリリアは調和や理想を語れるのでしょうか。
最強候補のエルゼナグが念動力まで備えると、誘導熱線と感応力で死角が無い強敵になりますね。
回避に念動で干渉して押さえ込まれると危険な事になります。
未だ伏せられている3大獣魔最後の一体は物理的な強さより、特殊能力で存在感を差別化していく感じですかね。
う~ん、大活躍なんでしょうか。
エルゼナグ+聖女皇なので非常に厄介な敵が出来上がりました。
怪力+念動力+熱線で近づけないですね。
>特殊能力で存在感を差別化していく
す、するどい…!
だんだん強くなっていくのも不自然かな、ということで最強候補のエルゼナグが2番めに登場しました。
ラスト1体の構想も練ります!
長文のうえにお気持ち炸裂になってしまい恐縮ですが・・・策略家のギルゼンスがこんなにあっさり融合されてしまうなんて!巻き添え合体は予想外だったということでしょうか。それだけサローザのことを舐めていたのかもしれませんが。いざとなればいつでも捨てられるし、何でも言うことを聞く奴隷ぐらいにしか思っていなかったとか?ところでエルゼナグはマナグロアに比べても数段強そうに見えます。だって地下から天井まで風穴を開けちゃうんでしょ~。さらに聖女の中でもトップクラスの実力を持つギルゼンスも取り込んで。どうやって倒すんですか??次の話を読むのがちょっと怖い~。
コメントありがとうございます!
全然嬉しいです、大変励みになります。
ギルゼンスについてはご指摘どおりで、サローザのことを軽く見ていた節はあります。
あと遠距離攻撃と搦手ばっかり使って勝ってきたので、近間でのもみ合いはそれほど強くなかったのもあります。
マナグロアもリンカージェと戦ってなければもう少しやれたんですが…
その分エルゼナグはぐっすり封印されて全快モードです。
次も読んでいただけると嬉しいです。
獣魔と合体しちゃったら一緒にいれないもんね^ω^;
ギルゼンスから聞いた時はどんな気持ちだったんでしょうか
役に立てる喜びと人間の姿で一緒にいられない悲しみ
どっちが大きかったんでしょうか
かなりショックだったとは思います。
一度は融合を受け入れたけど、土壇場で側にいたい気持ちが暴発しちゃいましたね。
聖女の意識がはっきり残っている訳ではないとなると、憑魔術もエルゼナグ程の相手では利きが悪いみたいです。
聖女が余分に増えたから深淵の像と憑魔術本来の効果を発揮できないのか、聖女二人掛かりでも巨竜の自我に捻じ伏せられるのか、当初の目論見通りの制御は無理だった訳ですね。
ギルゼンスと入力したつもりが何故かゼタリリアに!?意味は通じているでしょうが、お恥ずかしい///
まさしく仰るとおりでエルゼナグが強すぎて取り込まれそうになってる感じですね。
聖女なら自由にコントロールできるかというと、そんな甘い話でもなく…
>ギルゼンスと入力したつもりが
いえいえ、いっぱい聖女が登場するので名前間違えちゃいますよね笑
キャラクターの心理描写をもっと丁寧に描くべきだと思うけどなー
話の展開が早すぎ。
焦らなくても一度読み始めた人はそう簡単には切りませんよ?
ご意見ありがとうございます。
「どういう話なのか」がわかりやすく作りたいという気持ちがあるので、このようなスピードになっています。
登場人物が多いので一人ひとりを書くと長くなるというのもありますが…
なんとか最後まで読んでもらえるように工夫してみます
おもてたんと違う!
そうですね笑
サローザだけ融合させようと思ったんですが、そう上手くはいかなかったみたいです