光の戦乙女

暗い森の中、夕闇が濃くなるにつれ、木々の影は長く伸び、道なき道を歩む者の行く手を阻む。祖母のために薬草を取りに森に入った少女リリーは、帰る道を見失い恐怖に震えていた。

彼女の足音に混じるもう一つの音――低く唸る獣の声が背後から聞こえてくる。振り返ると、狼のような姿をした獣魔が、目を光らせてこちらを睨んでいた。

リリーは息を飲む。足がすくんで動けなかった。
「助けて…」リリーはか細い声で呟く。

次の瞬間、獣魔が一気に飛びかかってきた。少女は悲鳴を上げたが、その叫び声が森にこだますると同時に、金属音が響き渡る。獣魔の鋭い牙は、聖女イズデイルの持つ盾型ブリッツによって食い止められていた。

「もう大丈夫ですよ」

イズデイルはリリーに優しく微笑みかけた。その笑顔には、少女の不安を一瞬で消し去るような温かさがあった。

金色の三つ編みを揺らしながら、背丈ほどもあるメイスを携えたイズデイルはリリーを守るように立ちはだかる。

獣魔は怒り狂い、再び攻撃を試みるが、イズデイルの盾に阻まれ吹き飛んだ。リリーはイズデイルの背中に隠れながら、その頼もしい姿に心を落ち着かせていった。

「そのままボクの後ろに隠れて。後はコワいお姉さんたちに任せましょう」

イズデイルがリリーの頭をやさしく撫でる。

「聞こえているぞ」

空から風を切る音とともに、冷たい女の声がした。

リリーとイズデイルの頭上を、一人の聖女が飛んでいく。聖女ジグナだ。彼女は美しい水色の髪をなびかせて速射砲型ブリッツを巧みに操り、獣魔に向けて射撃を開始した。

弾丸は音速で飛び出し、獣魔の体を次々に貫いていく。獣魔は苦しみの声を上げ、地面に倒れ込むが、それでもなお動きを止めない。

イズデイルは銃弾で倒しきれなかった獣魔の攻撃に備える。だが、その必要はなかった。

純白のドレスに身を包み、巨大な砲型ブリッツを持った聖女ヴィゾアが現れたことにより、状況は一変する。体内の神気を凝縮し、光線状にして射出するヴィゾアの砲撃は、雷を想起させる圧倒的な破壊力を持っていた。

閃光が獣魔に直撃し、一瞬でその体を灰に変える。

「これで終わりよ!」

光の洪水が森を照らし、闇に隠れていた獣魔たちは逃げ場を失う。ヴィゾアの圧倒的な力をリリーもイスデイルも息を呑んで見守った。

数分の戦いが終わり、森には再び静寂が戻った。イスデイルはリリーの肩に手を置き、再び優しく微笑んだ。

「怖かったでしょう。でも、もう安全ですからね。街まで送りますよ」

リリーは涙を流しながら、イスデイルの胸に飛び込んだ。

「お姉ちゃん、ありがとう…本当にありがとう…」

ジグナは空から降りてきて、ふたりに近づいた。

「みんな無事で良かったわ。あなたもよく頑張ったわね。」

ヴィゾアも微笑みながら頷く。

「さあ、帰りましょう」

リリーは三人の聖女たちの勇敢な姿と圧倒的な力に、心から感謝した。聖女たちは、神からの天啓を受けた存在として、ただ戦うだけでなく、人々の心をも救っているのだ。

リリーの小さな手を握りしめながら、イズデイルは歩き始める。彼女たちの使命は続く。すべては守るべき人々のために。

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女神の教義
ヴィゾアはエザリス王国の大貴族グレイラント家に生まれたが、彼女の母は正妻ではなく、屋敷で働いていたメイドだった。ヴィゾアの母は正妻からうとま...

コメント

  1. 匿名 より:

    ジグナって誰?と思ったらちゃんと登場してた

    • akima より:

      そうなんです、実は結構初期からいる方なんです。
      また紹介ページにリンク設定いたしますm(_ _)m

  2. 匿名 より:

    怖いお姉さんw
    たち。なのでヴィゾアも含まれてるのが草なんだ

  3. 匿名 より:

    盾の形をしたブリッツと普通の盾は何が違うのかがわからん

    • akima より:

      ブリッツは聖女が持つ念動力・感応力に反応しやすい素材で作られた武器の総称になります。
      なので、100kgの普通の盾だと重たくて持ち上げられない。
      でも、100kgの盾の形をしたブリッツなら軽々持ち上げられる。
      ということになります!

  4. 匿名 より:

    イズデイルの胸に飛び込んだ・・・?
    (イズデイルのイラストを見る)
    俺もぜひお願いします!

    • akima より:

      豊満ですからね笑
      イズデイルなら受け止めてくれるかな?
      ガードは硬いのでお気をつけて。

  5. 聖剣の目隠し乙女 より:

    ヴィゾア「イズデイさん、ジグナさん、御覧なさい。こんなに綺麗な花火ですよ。おーっほっほっほっ」
    イズデイル「ヴィゾア様、急にどうしちゃったの?」
    ジグナ「『龍玉伝』という昔話にハマっているそうよ」
    ヴィゾア「私の討伐数は53万です。おーっほっほっほっ」
    ジグナ「流石に捏造し過ぎでしょう」
    リリー「お姉ちゃん、あの人怖い」
    リリーはイズデイルの胸に飛び込んだ。