静止した魔物

旅の戦士、ルークは、洞窟の暗がりに潜む何かを感じ取った。足元を慎重に進めながら、その不気味な気配に身を構える。狭く湿った洞窟の空気が、彼の呼吸を鋭くさせる。やがて、視界の先にそれは現れた。

巨大な獣魔だ。鋭い爪と、凶暴な牙を持つその姿は、一瞬でルークの脳裏に「死」を思い起こさせるほど、恐ろしいものだった。

瞬時に剣を抜き、構えるルーク。しかし、目の前の獣魔は微動だにしなかった。

襲いかかってくるはずのその獣魔は、全身が氷のように凍り付いていたのだ。息遣いすら感じられない。まるで、時そのものが止まってしまったかのように、完全に静止している。

「なぜ…ここで…?」

ルークは驚きと不信を抑えきれなかった。この洞窟は寒冷地にあるわけではない。洞窟内も冷たい風が吹いているわけではなく、普通の湿った空間だ。

なぜこんな場所で、これほどの強大な獣魔が凍り付いているのか?

ルークは剣をゆっくりと鞘に収め、慎重に獣魔へと近づいた。触れることはなかったが、その凍りついた姿を目の当たりにし、異様な光景に呑まれそうになる。

「これはただの自然現象ではない。何かが、この地に潜んでいる…」

ルークはその場を立ち去ることに決めたが、心には重い謎が残った。強大な怪物さえも凍りつかせるこの力の正体とは?

暗い洞窟を背に、ルークの心には不安と好奇心が混ざり合う。何か得体の知れない存在が、彼をじっと見つめている気がした。

コメント

  1. 匿名 より:

    氷。氷の獣魔って今までいなかったよな?いたっけ。でもコイツは凍らされただけってことか。かなり大きめの獣魔に見えるので相当な実力者じゃないと無理だよな。少なくとも聖女ではなさそう。

    • akima より:

      氷を使う獣魔は今のところ登場してないです。
      こやつは何者かによって凍結されました。
      ご指摘どおり、相当なサイズです。
      一介の聖女には無理な芸当ですね。

  2. 匿名 より:

    相手を凍らせるブリッツとかでてくんのかな

  3. 匿名 より:

    敵を凍らせる能力が登場するのは間違いなさそう。描写を見る限りでは獣魔より格上の存在か。

  4. 聖剣の目隠し乙女 より:

    物理的に氷漬けになり冷気を放っているのか、タイトルの通り静止させられているのか。
    寒冷地ではないという事から、洞窟はアテヤ霊脈内では無いという事に。
    アテヤ霊脈ならオーゾレスが捜索を命じる支配の神器の強制力で静止させられていると踏んでいたのですが。
    旅の戦士ルークは重装備ですね。右手に剣、背中に槍、左手に…ウォーハンマー?

    • akima より:

      そうなんです、アテヤ霊脈とはまた別の洞窟で起こった出来事なんです。
      氷漬けになった獣魔の謎は次の章に登場するキャラによって明かされる予定でございます。
      ルークは…ちょっと武器多いなとは思ってました笑
      調整してみます!

  5. 匿名 より:

    一介の聖女より強いといわれても作中でそれ以上に強い存在っていなくない?
    神・御使・獣魔しかいないよね?
    獣魔の同士討ちもあり得るのかな

    • akima より:

      聖女は作中でもかなり強い方ではあります。
      単体でそれ以上に強いキャラだとあと天獣がいるかな。
      同士討ちもありそうですが、この獣魔はまた別の存在に凍らされました。

  6. 聖剣の目隠し乙女 より:

    Pixivの【冥府魔導】にマイナスの魔力や生命力、冷気を操作するイメージがあります。
    近い時期に【王国の亡霊】、【城の亡霊】等、負の存在がアップされていますが、BLITZの世界には獣魔以外にアンデッド等のモンスターは存在しますか?
    獣魔とは異なる敵対勢力として【邪神】と眷属・それを奉ずる術師が登場する可能性も考えられます。
    不死者討伐はいかにも聖女の活動らしく思えます。
    魔導巨兵が氷漬けになった様な【白昼夢】アイスゴーレムに立ち向かう【反乱】等、氷を連想する作品が連続している事に関連はあるのでしょうか。

    • akima より:

      冷気を操るキャラクターは近々登場予定になってます!
      ゾンビやヴァンパイアといったアンデッドモンスターはいないですが、亡霊はいますね。
      あ、亡霊もアンデッドモンスターか。

      神もまだ登場していない者がいまして、その眷属たちもおります。
      その辺りのメンバーと冷気系のイラストが関連している形です。