すみわたる青空に轟音が響く。
ベルナズの砲型ブリッツから放たれた弾は、いずれもガルズレムに着弾し、爆発を起こす。
しかし神獣はいっこうに怯む気配を見せない。
「無視かよ、この野郎! 上等だぜ」
ガルズレムの周りを飛び回りながら、ベルナズは4機のブリッツで砲撃を続ける。
頭部、肩、胸、腕――爆発のあと、それぞれの場所から白煙があがり、損傷が修復されていく。
まるで時間が巻き戻るかのように黒い外皮が盛り上がり、再生していく。
「獣魔の比じゃないわ。いったん離れなさい」
大きく旋回しながらロズタロトが連射する。
大口径の銃弾はガルズレムの外皮に食い込み、黒い鮮血が舞う。
しかし、それもまた瞬時に修復されてしまう。
ロズタロトに小さな違和感があった。
――不死の神獣だとしても、無限に再生できるわけない。なにか理由があるはず。
「ベルナズ!私の合図で胸のあたりを撃って」
「なんだぁ!? 指図すんなてめぇ!」
ガルズレムの頭部を見下ろしながら、ベルナズが悪態をつく。
しかし、内心ではロズタロトの銃弾の精密性、飛行速度には舌を巻いていた。
「あの性悪女が何かしてるんでしょ、どうせ」
つぶやきながら、ロズタロトは2機の銃型ブリッツを体の左右に展開させる。
薄笑いを浮かべるオーゾレスの表情が脳裏に浮かぶ。
精神を集中させ、神気を体内で法力に変換。
念動力を装填された銃弾にまとわせると、バイザーの奥で目を見開いた。
けたたましい銃声とともに、ガルズレムの胸元に銃弾が叩き込まれる。
「今よ! ベルナズ」
「ケッ! えらそーによぉ!」
ロズタロトの銃弾にかぶせるように、砲弾を射出する。
ふたりの聖女による同時攻撃により、ガルズレムの胸元で血煙があがった。
傷口の修復と同時に、神獣の胸の奥で何かが光っている。
血のように赤黒い光。
「あの光は…!」
ロズタロトがバイザーの奥で目を凝らす。
見覚えのある、禍々しい光。
オーゾレスの持つ杖から放たれていたものと同様だ。
ガルズレムはオーゾレスの杖と神器を取り込み、膨大な神気を集めて自己再生している――
「おい!ボーッとしてんじゃねえ!」
ベルナズの声。
我に返ったロズタロトの眼前に巨大な爪が迫っていた。
ベルナズがとっさに念動力で突き飛ばすが、鋭い爪の先がロズタロトをかすめる。
念動防御で防げるほど、神獣の一撃は甘くはなかった。
小さな悲鳴。
ロズタロトは赤く染まった腕を押さえながら、落下していく。
大気を揺るがす咆哮が、漆黒の神獣の口からほとばしる。
それはただの音ではなく、魂を震わせ、空間そのものを歪ませるような――純粋な力の奔流だった。
海面の直前でベルナズはロズタロトを抱きかかえ、再び飛び上がった。
「離れろって言ったのはてめぇだろうがよ、まったく。一旦退くぞ!」
「う…」
ロズタロトは激痛に顔をしかめる。
腕と背中を切り裂かれ、半身が血に染まっていた。
海上要塞へ向かって飛行するベルナズに、悪寒が走った。
とてつもない神気が一箇所に集まっている。
感応力をめぐらすまでもなく、感知できるほどに。
青白い光の粒子が、ガルズレムの巨大な顎に凝集されていた。
「冗談だろ、おい…!」
歴戦の聖女であるベルナズは、何度か似たような動きを知っている。
大型獣魔が放つブレス――熱線の予備動作である。
コメント
ロズタロトがなんかアニメっぽくなった!?
かすっただけで腕と背中に大ダメージ。
攻撃力も獣魔より高そう。
アニメっぽいですかね☺
ちょっと絵画っぽいイラストもありましたが、もう少し薄くなりました。
神獣の攻撃力・速度は大型獣魔よりもっと上なので、スピードのあるふたりでも全部回避は難しくなっております。
オーゾレスは一体化してるみたいですねー
ということはもう意識はないのか
それとも残っているのか
神獣と一体化しております。
杖ごと。
神獣を人間の意識化に置くのは難しく…
ロズタロトとベルナズの集中射撃
火力が高いベルナズが撃った痕をロズタロトが正確に撃ち抜く順番の方が良かった気が。
二人の同時射撃で胸の奥まで抉れる。
これだけ防御が薄いと、強力な溜め撃ちなら内部の神器に攻撃が届いてしまうのでは?
火力不足のロズタロトに結晶核搭載の記述は見られず…。
神獣ブレス、さっそくイズデイルの神盾が活躍するかな。
そうですね~
ベルナズの方が広範囲に攻撃できますもんね。
神獣は防御力が高いので、ベルナズの攻撃を受けても兵器でいられる、という。
大型獣魔だったらもっと怯みますので…ベルナズつよい!
神獣ブレス、どうしのぐか!?
ファイマズの宝珠で神気をオート回復してる神獣。つまり封印される前より強くなっている。ブレスも撃ち放題!勝てるかこれ・・・
オート回復☺
字面が恐ろしいですねえ…
実際開けた場所で海や空からも神気を補給しつつ、回復したりブレス撃ったりできます。
聖女側は大ピンチ!
٩( ‘ω’ )وしゅたっ!
一瞬わからなかったんですが、イラストですかね?
そう言われたらそんなふうに見える☺