🌐 Language / 言語
🇺🇸 [English Edition]
🇯🇵 [日本語版]
大聖堂の鐘が鳴っていた。
避難してきた市民たちの泣き声、祈り、怒号。
地下へ続く階段には、長い列ができている。
「ゆっくりでいいよぉ~」
短い青髪が揺れる。
ウェレジアが年老いた女の背をやさしく押した。
巨大な白い盾を壁へ立てかけ、気だるそうに息を吐く。
「走らなくていいってば。死なないから」
言葉は軽い。
しかし、その声を聞くだけで不思議と落ち着く。
近くでは、ガルフィズが避難誘導を続けていた。
褐色の肌がしっとりと汗ばんでいる。
子どもを抱え、怪我人へ肩を貸し、声を張り上げる。
「押さないで!地下は安全よ!」
その時だった。
「……んん~、あれ?」
ウェレジアが顔を上げる。
遠くで赤い影が走ってくる。
法衣、乱れた呼吸――見覚えのある姿。
「お~? オッサン元気じゃん」
「あれは……ザクネル様……?」
ガルフィズも振り向く。
だが、すぐ違和感に気づく。
様子がおかしい。
顔が青く、息が荒い。
何より――すぐ後ろ。
誰かがいる。
空を滑るように追ってくる影。
黒いバイザー、浮かぶ黄金の大剣。
半身は血で濡れていた。
静かすぎる。
だからこそ怖かった。

「……ヤバそうなのに追われてるね」
ウェレジアが盾を引き寄せる。
正直言うと、気が進まなかった。
ザクネルの説教じみた話は嫌いだ。
偉そうで、正しさを押しつけてくる。
それでも見殺しにはできない。
ガルフィズはすでに剣へ手をかけていた。
「あれも襲撃者みたいね。行くわよ!」
短く言う。
迷いはなく、好き嫌いで助ける相手を決めない。
それが彼女だった。
地面を蹴ると同時に、黄金の刃が降ってきた。
――激しい衝突音。
黒い大剣が受け止める。
衝撃が石畳を砕いた。
「……っ!」
重い。
ただ重いだけではない。
圧力が異常だった。
押し込まれ、腕が痺れる。
ガルフィズの顔がわずかに険しくなる。
その直後、二本目の剣が舞う。
巨大な白盾が割り込んだ。
甲高い金属音。
「うおっ!?」
青髪の聖女の身体が後ろへ滑る。
盾越しに腕が震える。
――重っ!
嫌な汗が背中を伝った。
たった一撃、それだけで理解する。
強い。
きっと、今まで戦ったどんな獣魔よりも。
どんな聖女よりも――目の前の女は、異常な力を振るっている。
「ふん!飯、ちゃんと食ってんのか?」
軽口を叩く。
虚勢だった。
そうでもしなければ、足が止まりそうだった。
返り血の聖女――リンカージェは答えない。
ただ、静かに見ていた。
ザクネルと、その後ろにある大聖堂を。
そして、避難している市民たちを。
「……退け」
初めて声が落ちる。
冷たいが、怒りだけではない。
迷いの混じった声だった。
「目的は、あの男だけだ」
「だったらなおさら、退けないわ」
ガルフィズが眉を寄せる。
剣を構える。
その刃先は揺るがない。
「ウザイ奴でも、守るべき時は守らないとね。ウチら、そういう仕事だし?」
ウェレジアが盾を構え直す。
黄金の刃が、再び浮かびあがった。
四本。
空気が張り詰める。
ガルフィズが小さく息を吐いた。
一分もてば良いほうね……。
そう直感した。
襲撃の鐘は、まだ止まない。
空では雷鳴が轟いている。
遠くで巨大な何かが、なお王都を蹂躙していた。
永遠の平和を謳われたエザリス王国は今まさに、存亡の危機にさらされていた。
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コメント
おっさん爆走してて草
聖女ってもっといっぱいいるんじゃなかったっけ?
囲んでしまえばいいのでは??
命がけの爆走です!
エザリス王国お聖女は首都バトリグ、その他の主要都市、ゲイルード海上要塞、など数か所に配置されてます。
その辺り説明不足なので補足の記事もアップしますね。
ありがとうございます!
おっさんやっぱり嫌われてるんか
エザリスのモデルってバチカン?
エザリスの聖女はみんな胡散くささに気づいてるんですが、布教などの面で実績はあるので司教として扱ってる感じですね。
モデルはバチカン市国ではなくて、ギリシャ神話なんです。
ウェレジアはいいキャラしてますねー
精神的に凹むと思念が弱まってブリッツの操作にも影響する
だから強がる
こういうの好きです
二章以降にも登場して欲しいな
聖女は心のあり方がそのまま戦力につながりますので、メンタルはタフであるに越したことはないですね。
熱いほうが勝ちます。
登場させたい聖女がいっぱいいるので迷います笑
リンカージェなら聖女二人ぐらいすぐ倒せそうなんですがこの時はまだ本気を出してないんですかね
一人ずつならすぐ倒せますが、二人一気に相手するとなると手こずりますね。
それでも獣魔の力を使えば蹴散らせますが、そもそもリンカージェの標的は聖女じゃないのでまだ本気じゃないというのもあります。
ガルフィズ実は大きなリボンを着けていたんですね。
新規イラストで見ると剣術指南の立場相応、数値以上に位が高そう。
謎帽子だったんですが、GPTさんの解釈ではリボンに…
これはこれでカワイイかな?
結構強い聖女なんですが、もっと強い聖女が活躍しすぎていてあまり目立ちませんね…!
ウ「ふん、飯食ってんのか?」リンカージェのお腹がグゥと答える。
リ「私は朝食の前に戦闘をするんだ」ウ「何だ、マッドドッグ・タネンと一緒か」
リ「誰も私を狂犬なんて呼ばせない!」激高したリンカージェの攻撃が激しさを増す。
暴走を経験した彼女にとって狂戦士扱いは地雷となった様だ。
聖魔だってお腹ぐらいなるんだ!
マッドドッグ・タネンで検索…
BTFの人!
ちなみにタネンはドイツ語で「モミの木(Tanne)」を意味する言葉が由来になっているそうです(謎情報)
本人はどう思ってるかわかりませんが、リンカージェはバーサーカータイプなんですよね…!