夕闇の攻防

空は薄っすらと暗くなり始めていた。
青く光る環の中に、紺碧の鱗に包まれた龍型の獣魔が浮かんでいる。

獣魔マナグロアには聖女が4人がかりで応戦していた。
銃型のブリッツを操る聖女王ヴィゾアと遠距離からの砲撃を得意とする聖女ベルナズが攻撃。
盾役の聖女イズデイルは繰り出される尾による攻撃を食い止めていた。
放たれた電撃をかわすために、聖女パルヴァズは他のメンバーの速度支援に専念している。
しかし、エザリス王国が誇る最大級の戦力をもってしてもマナグロアの攻撃は止められなかった。

「ちっ、硬ぇな。おい、ヴィゾア! このままじゃジリ貧だぜ」
電撃をかわしながらベルナズが叫ぶ。
操る4機の銃型ブリッツが砲弾を射出する。
いずれもマナグロアに直撃しているが、ダメージはほとんど見られない。

「そうね。生半可な攻撃は通じないわ」
ヴィゾアは空中を回転しながら飛び回り、マナグロアの死角から砲撃を見舞う。
シューターの中でも屈指の力を持つ彼女たちですら、この規格外の獣魔を退けられないでいた。

高速で射出される電撃の通り道を感応力で先読みし、体ごと移動させて回避。
さらに銃型のブリッツで撃ち返す。
移動・回避・攻撃、いずれも聖女の法力を消費させる行動である。

「ボクが抑えます!」
尾による重い打撃を盾でいなしながら、イズデイルが叫ぶ。
盾ごと体が吹っ飛ばされている。
文字通りの防戦一方。
余裕がないことは一目瞭然だった。

「何なのコイツ…強すぎでしょ」
パルヴァズはギリギリ念動力が届く後方で、3人の聖女の動きを感知しながら補助に徹していた。
彼女の仕事は主に速度強化である。
電撃と尾による波状攻撃は、この場にいる聖女の誰も経験したことがないほどの激しさだった。

NEXT↓

天をも墜とす
「まずはあのウザイ電撃をなんとかしねえとな」 聖女ベルナズは攻撃を止め、感応力を研ぎ澄ます。

コメント

  1. 匿名 より:

    キャラクターごとの紹介はないんですか。
    いきなり名前を書かれても誰?としか。

  2. 匿名 より:

    確かに人物が多い為に把握しきれず、ストーリーやキャラクター同士の関係を読む度に聖女の紹介に戻っています。
    各記事を読む際に、毎回ページ上部の「授かったのは獣魔を滅ぼす力―」をスクロールする必要があるので少し手間です。
    壮大な導入部分と記事を分けた方が読み易いです。

    • akima より:

      おっしゃるとおりで申し訳ないです!
      とりいそぎあらすじ部分を新着記事の下にしてみました。
      また、聖女の名前を各紹介記事にリンクさせようと思います。
      貴重なご意見ありがとうございます!
      来週中にはもう少し見やすい形に整えていきますね。

  3. 匿名 より:

    登場人物が多い件に関して私見を。ハッキリ言ってあまり気になりません(あくまでボク個人は・・・ですがw)作者さんは小説というよりはゲームのプロットのように物語を作っているように見えます。おそらくですが。個別の人物紹介ページが用意されているのでそこに誘導してしまえば問題はないかと。ご丁寧にひとりひとりに全身のイラストまであるのですから誰が誰かわからないということにはならないはずです。カテゴリページを案内するよりは記事内で名前にリンクしていく方が親切です。時系列に合わせて更新しないのは自由ですが読み手のことを考えるならもう少し情報が整理されている方がよろしいかと。いろいろ書きましたが今後も更新を楽しみにしています。

    • akima より:

      ご意見ありがとうございます。

      小説形式なんですが、実は最初に設定資料から作り、そこからストーリーを考えるという手法で進めています。
      最初に張り切って聖女たちの設定を作っていったので、数が多くなってしまい…ちょっとわかりにくい形になってしまいました。
      ストーリーに登場する人数をある程度しぼって、全体を把握しやすくしたいと思っています。

      記事内でのリンク、進めていきます!
      リンク先まで飛んで聖女たちの紹介文まで読んでもらえたらとても嬉しいです。
      更新がんばります!

  4. 匿名 より:

    読みかえすとイスデイルって地味に活躍してるね

    • akima より:

      どうしても時間稼ぎ的な役割になりますね。
      でもイズデイルがいなかったら負けてた、という戦闘も多いです。