🌐 Language / 言語
🇺🇸 [English Edition]
🇯🇵 [日本語版]
空が、白く染まっていた。
遅れて届く衝撃音。
空気が震える。
世界そのものが揺れたようだった。
ガルフィズは、すぐに理解した。
――ヴィゾア様だ。
あの光を知らないはずがない。
王国最強である聖女王の切り札。
勝負が動いたのだ。
その直後だった。
リンカージェが、初めて体勢を崩した。
「……っ!」
黒いバイザーの奥に見える苦悶。
四本の黄金剣がわずかに揺れる。
まるで、何かを無理やり引き剥がされたようだった。
隙――ほんの一瞬だが、戦場では十分だった。
黒い大剣がうなる。
閃光のような袈裟斬り。
鮮血をあげ、リンカージェの肩口が深く裂けた。
鈍い、骨まで届いた感触。
「ぐっ……!」
初めて口から苦悶がもれる。
地面へ片膝をつく。
血が石畳を染めた。
ガルフィズは、ゆっくり剣を構え直す。
「勝負あったわ」

呼吸は荒い。
それでも、視線は揺るがない。
「おとなしく投降しなさい」
静かな声だった。
だが、返事はない。
傷口から、煙が上がっていた。
血が止まり、ゆっくりと確実に修復されていく。
「……は? 治ってんだけど」
巨大な盾を支えながら、ウェレジアが眉をひそめた。
嫌な汗が流れる。
こんなの見たことがない。
いや、ひとつだけ心当たりがある。
獣魔の再生能力だ。
傷を抱えたリンカージェは、ゆっくり立ち上がる。
だが呼吸は乱れていた。
肩を押さえる手にも力が入っている。
完全回復ではないのだ。
「……今は退いてやる。名前を聞こう」
低い声だった。
「ガルフィズよ」
剣を肩へ担ぐ。
「で?逃げられると思ってるの?」
空気が張る。
だが彼女も限界だった。
肩で息をしている。
腕が重い。
隣では、ウェレジア女が歪んだ盾を立て直している。
盾は半分ほど潰れていた。
あと数撃、耐えられるかどうか。
「勝負はこれからだろ?」
軽口を叩く。
声は少しかすれていた。
リンカージェが小さく息を吐く。
空を見上げる。
遠くで、まだ戦いの余波が響いている。
王国の増援が来るのは明白だった。
ここに留まれば不利――静かな判断だった。
「次は殺す」
肩口を押さえたままリンカージェは地面を蹴り、跳び上がった。
見上げたふたりのもとに、刃が落ちてくる。
「うわっ!」
盾へ直撃。
ウェレジアが吹き飛ばされないよう、こらえる。
「待ちなさい!」
褐色肌の聖女も剣を振るう。
だが追えない。
頭上から、黄金の剣が雨のように降り注ぐ。
防ぐだけで精一杯だった。
その隙に、リンカージェは夕闇へ向かって飛んだ。
影はみるみる小さくなっていき、やがて黒い点になって消えた。
静寂。
しばらく誰も動かなかった。
「ちっ。逃げやがった」
白い盾が地面に転がる。
「今日はこれぐらいにしといてやるよ」
そうつぶやくと、ウェレジアは膝から崩れ落ちた。
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コメント
大ボスの一角と想像していたマナグロアが消滅してしまうとは意外です。
細胞を培養して他にスペアがあるのか、降魔術や従魔の契約で再召喚可能なのか。
3大獣魔より更に格上が続々登場するのか、気になる所です。
ちょっと惜しいのですがココで退場ですね。
再召喚ができるとなると…恐ろしい。
3大獣魔より更に格上は存在するのでいずれ登場させます!
エザリス王国の聖女は金髪がほとんどですか?
エザリスの聖女は金髪と青、水色の髪になっております!
リンカージェが自身を危険に晒す事を両親は望まないはずなので、ゼタリリア夫妻を巻き込まない様に何も伝えず行動を起こしたという事でしょうか。
ヴェイダル博士の後援を得られれば活動の幅は広がりますが、リンカージェ単独だと物資の不足に悩まされそうです。
リンカージェの存在自体、エザリスの人々は知らなかったりします。
リガレア帝国の端っこの村で育ちましたので。
ゼタリリアたちには何も伝えずに旅立ちました。
単独だと確かに限界がありますね…そこにゼハインが絡んでたりします。
リンカージェ「3大獣魔のマナグロアと言えど、単体では聖女達相手の時間稼ぎにもならなかったわ。他にもっと良い術は無いの?」
ゼハイン「従魔化可能に痛めつけたマナグロアを暴走したお前が徹底的にオーバーキルしたから本領を発揮できなかっただけだろう」
リンカージェ「ぐぬぬ…。鏡に映した分身を増やして戦わせられるような便利道具とか出せない?」
ゼハイン「そんな危険な代物は例えあっても貸さない」
リンカージェ「ねぇゼハイン、お腹空いた」
ゼハイン「待ってろ。今出してやる(こいつ自由だな)」
マナグロア君の株価が下がっていく…!
本当はスゴイ獣魔なんですけどね。
聖女側も十分対抗できる力があるので…
武器も使ってますし。
がんばれマナグロア!もう退場しちゃったけど!
自らの力に絶対の自身を持つリンカージェは鎧を着込んでいない。
対するガルフィズも薄着である。そのいでたちが仇となった。
リンカージェからの反撃から身を守るのに手一杯となり、深手を負わせたリンカージェを取り逃がしたのである。(逃げてくれたラッキー)
決して追いかけなかった訳ではない。ー報告書よりー
聖女同士の戦いなら鎧はある程度有効ですね笑
リガレウムでガッチガチに着込むのだ!
パルゼアは意外と着込んでたりします。
退いてくれないと戦闘続行されるとヤバかったですね。