
宥赦の至宝
「顔を上げて、ゼタリリア。あなたはエザリス王国の誇りなのだから」 ヴィゾアは優しくそう声をかけて、玉座の前でひざまずくゼタリリアの方に手を...
「顔を上げて、ゼタリリア。あなたはエザリス王国の誇りなのだから」 ヴィゾアは優しくそう声をかけて、玉座の前でひざまずくゼタリリアの方に手を...
突然加速した拳が、ヴィゾアを狙って突進する。 地面を砕く衝撃に足元が崩れ、石片が飛散した。
月光に照らされる王城の回廊は、不気味なほど静寂に包まれていた。そんな夜の闇を貫くように、聖女王ヴィゾアと聖女コルゼティが対峙する。
華やかな金箔の施された謁見の間に、朝日が差し込んでいた。 巨大な窓から差し込む光は、まるで神の眼差しのように室内を照らし出している。 ...
「ヴィゾア様、今のうちに逃げますよ」 全身が海水でびしょ濡れになったウェレジアが、海上要塞の屋上に座り込むヴィゾアに声をかけた。 手に持...
見渡す限りの空と海。 ゲイルード海上要塞の上空で聖女たちは黒い影の正体と対峙していた。
「はえ~こりゃ大物だ。近くで見るとホントでかいね」 ムーゼルはあんぐりと口を開けたまま、ジオッドがおびき寄せた獣魔を見上げた。
ヴィゾアはエザリス王国の大貴族グレイラント家に生まれたが、彼女の母は正妻ではなく、屋敷で働いていたメイドだった。ヴィゾアの母は正妻からうとま...
暗い森の中、夕闇が濃くなるにつれ、木々の影は長く伸び、道なき道を歩む者の行く手を阻む。祖母のために薬草を取りに森に入った少女リリーは、帰る道...
「まずはあのウザイ電撃をなんとかしねえとな」 聖女ベルナズは攻撃を止め、感応力を研ぎ澄ます。