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🇺🇸 [English Edition]
🇯🇵 [日本語版]
石を削る音だけがアトリエに響いていた。
宙に浮かぶ二振りの刃。
大理石を少しずつ削り取っていく。
窓の向こうには夕暮れの海が広がっていた。
削り落とされた白い粉が風に舞う。
「お邪魔だったかな」
落ち着いた男の声がした。
アムネズは振り返らない。
「構わない。入ってくれ」
壁際の椅子がひとりでに浮かび上がり、音もなく男の前へ移動した。
法衣の男は静かに腰を下ろす。
しばらく誰も口を開かなかった。
石を削る音だけが続く。
やがて男が口を開いた。
「聖女皇様がいろいろと動かれているようだ」
刃先がほんのわずかに止まる。
「そうか」
「気にはならないかな」
「――どうかな」
再び刃が動き出した。
石の中から人の横顔が少しずつ現れていく。
「私はあの方に従っている」
「盲信しているわけではない、と」
「そうだな」
男は小さく笑った。
「少し、安心しました」
夕日が差し込み、白い石を朱色に染める。
「もしも――」
男は言葉を選ぶように間を置いた。
「もしも聖女皇様が道を誤ったなら」
アムネズは答えない。
規則正しい削岩音だけが続く。
「止められるのは貴方だと思っている」
長い沈黙。
やがてアムネズは小さく息を吐いた。
「買いかぶりだ」
「そうかもしれない」
男は立ち上がる。
「だが、それでも頼みたい」
アムネズは完成した彫像を見上げた。
かつて、凶悪な獣魔を封じたとされる御使いの姿だ。
「覚えておこう」
短い返事だった。
男は満足そうにうなずく。
「素晴らしい。厳かでありながらしなやかさもあり、なにより美しい。
今の僕には、この御使いの姿が貴方と重なって見える」
窓の外では、夕日が海へ沈もうとしていた。
御使いの彫像は残照を浴びて赤く染まっていた。

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コメント
実力ある誠実な人物が力を携えるのは良い事ですが、ギルゼンスが間諜を至る所に放ってこの遣り取りを聴かれていたら大変な事態になりますね。
壁に耳あり、独裁者の国では善良で志ある有識者程、政治犯として投獄されてしまいます。
いたるところに罠を用意してそうですよね笑
ディメウスはその辺上手くやる気がします。
やっと登場したと思ったらアムネズの絵なし^^;
アムさんこれからたくさん出番ありますので!
お楽しみに!