夢境の泡沫

🌐 Language / 言語

🇺🇸 [English Edition]

🇯🇵 [日本語版]


厚い雲が銀色に輝いている。
見渡す限りの雪と氷のかたまり。
川は凍り、身を切るような風が吹いている。

白銀の鎧を着た乙女が海を見下ろしている。
その周りには、6本の剣が浮かんでいた。
深く被った兜により、目元は見えない。

剣が己に向かって飛んでくる。
痛みが五体を駆け巡った。
怒号をあげても指一本すら動かせない。
身を焦がすような憎悪が心を覆っていく。

――これはエルゼナグの記憶?

意識が混濁している。
眠っているようでもあり、目覚めているようでもある。
強大な存在に包まれた安堵感。
愛する者のそばにいられる幸福。
そして自らを封じた者への激しい怒り。
様々な感情が交錯し、ギルゼンスの意識が明滅する。

融合した三者の意識は偏ることなく混ざり合っていた。
その意識はより深い場所へ。
崖を転がり落ちるように。
ギルゼンスは闇に堕ちる感覚にすべてを委ねていた。

目指していたものは一体何だったのか。
目的を果たすために何が必要か。
何をしているところだったのか————

すべてを忘れてこのまま眠っていたい。
そんな想いが浮かんでは消える。
おそらく、サローザはすでに意識の底まで堕ちてしまったのだろう。
愛する者のそばに居られる多幸感だけが残っている。

強大な者の一部となることは、意外にも心地よいものだった。
ただし————
これが真の調和とは思えない。
ギルゼンスが目指したものとは違う。
断じて内側だけで完結するような和合ではないのだ。
世界を正しい方向に導かなくてはならない。
今の自分ならそれが可能なのだから。

ゆっくりとエルゼナグが目を開く。
青く澄んだ瞳は、徐々に燃えるような真紅に変わっていった。

↓NEXT

開戦の狼煙
🌐 Language / 言語 🇺🇸 🇯🇵 ...

コメント

  1. 匿名 より:

    陰謀に頼る必要が無い絶大な力を得た事と強大な精神と融合した影響で、ギルゼンスが憑き物が落ちた様に純粋に調和を目指す人物に見えてしまいます。
    他国や他者への態度を見る限り、隷属させて支配する事を調和と考えているみたいですが。
    深淵の像と憑魔術くらいではエルゼナグを御するには到底足りませんよね。

    • akima より:

      単純に力だけで圧倒できる状態にはなっていますので、心境の変化はあると思います。
      もっとダイレクトに思いを叶えられるようになった時、人はどういう行動に出るのか…
      大型獣魔ぐらいなら意のままにできたかもしれませんが、相手は神獣の化身なのでちょっと小さく見積もりすぎた感あります。

  2. 匿名 より:

    これは女神アズトラですよね
    エルゼナグを封印した御使いって実はアズトラだったってこと?
    剣って六本でしたっけ
    ゼタリリアは四本でしょ

    • akima より:

      銀の鎧を着ているのはアズトラです。
      エルゼナグを封印したのは御使いです。
      ご指摘通りゼタリリアが使ったのは4本、アズトラは6本です!

  3. 匿名 より:

    ギルゼンスのたちの悪いところは自分がやっていることが正しいと思っているところですね。
    そういう人が力を持つと碌なことになりません(^_^;)
    ところでギルゼンスの紹介ページには「闇に堕ちる感覚…教えてあげるわ」というセリフがあります。
    そしてこの回を読む限り『闇に堕ちる感覚』というのは『三者が合体した後意識が深い場所に堕ちていく感覚』だと説明があります。
    つまりあの発言は合体した後の発言ということになります。
    この後ギルゼンスは人の姿に戻るということでしょうか?
    その場合『教えてあげるわ』と言っているので少なくとも人語が通じる相手とまた合体するつもりなのでしょうか?
    ネタバレになりそうでしたら答えていただかなくても結構ですので。。

    • akima より:

      確かに自分のやっていることが正しい、と信じ切っています。
      でもギルゼンス自身もどこかで強引すぎるとは思っているみたいです。
      ただ、できるからやる、みたいな感覚です。

      >闇に堕ちる感覚

      細かいところまで読んでいただけて嬉しいです!
      こんな考察が寄せられることもまったくの想定外でした笑
      ご質問の内容に関してはコメント欄ではまだお答えできないです。
      ぼかす形になるかもしれません。
      続きも読んでもらえると嬉しいです。

      • 匿名 より:

        細かいもなにも一行目に書いてありますがね(^_^;)
        過去の更新でもいろいろとヒントが散りばめられているようなので楽しく読ませてもらっています。

        • akima より:

          ありがとうございます!
          一応先の物語に絡めて書いてある部分もあるので、時間に余裕のある時に見ていただけると嬉しいです。

  4. 匿名 より:

    オリジナルの宝剣に対してリンカージェの物は大剣なんですね。
    アズトラが参戦して攻撃する程となると、慧神イオクスの御使いでは足りないレベルの強敵という事になります。
    悪しき存在を滅ぼすアズトラが一方的に蹂躙してなお止めを刺さず封印する辺り、神獣は生かしておく必要がある?
    皆さん理解が深いですね。
    上から聖剣乙女、CCCさん、るなばるさんだったりするのでしょうか?

    • akima より:

      そうなんです、リンカージェはかなり大ぶりになっています。
      攻撃力はアップしているのですが、その分重たくもなっていて、防御にも使えたり。
      でもスピードならアズトラの宝剣型の方が上ですね。

      ご明察の通り、イオクスの御使いでは倒せないぐらいのやつが封印されているシーンとなります。
      神獣は再生能力が高くてアズトラでも倒せず、封印した、という経緯があります。
      このあたりも書ければと思ってます!

  5. 匿名 より:

    このイラストきっかけで読み始めたんだけど全然意味わからん

    • akima より:

      ありがとうございます!
      いくつかの媒体に載せているのですが、この画像経由で来てくれた方が多いようです。

      https://seijyoblitz.com/1032.html
      こちらが1話になりますので、良かったら読んでみてください。