「まったく、魔導巨兵まで駆り出すだなんて…」
夜の闇が迫る王城の空で、ジグナは小さくつぶやいた。
足下には膝を撃ち抜かれ、城門前に横たわる魔導巨兵の姿があった。
ジグナは音もなく降り立つと、操縦席のフタを念動力でこじ開ける。
「う、ぐ…」
操縦席でうめいている男に、ジグナは見覚えがあった。
王都バトリグを守る近衛兵のひとりだ。
聖女とともに街を守ることこそが、男の役目だったはず。
「あなた、自分が何をやったかわかっているの?」
「くっ、我々はコルゼティ様の尖兵として『新秩序』の手助けを…」
「あきれた。栄えあるエザリス王国の近衛兵までそそのかされていたなんて」
「ふん、栄えある、だと? エザリス王国はしょせん選ばれた者だけの理想郷だ。お前らに苦しむ民の気持ちなどわかるまい」
男は痛むらしい脇腹をおさえながら、ジグナを見上げた。
その眼差しには王国への不信感がありありとあらわれている。
高い税率に加えて法を破ったものへの罰金。
貧富による医療、教育の格差。
行政や司法の不透明さも、民の暮らしを脅かしている。
「だから暴力に訴えるというの? よりによって、法によって治められたこの国で」
「その法も、貴様らの都合のいいように書き換えたものだ」
男の目に宿った不信感は、簡単に消える気配がなかった。
ジグナはため息をついて空を見上げる。
「私たちも今一度、王国の在り方を考えなきゃいけないみたいね」
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追撃の擲弾
日暮れが迫る南の城門は、一帯が焦げたような土ぼこりに包まれていた。
魔導巨兵の巨体が鈍くうなりを上げ、今にも門を破壊しようとしている。
...
コメント
ジグナまで出張っていいの?まだコルゼティゼフィナがいるよね?ベルナズガルフィズパルバズだけで迎え撃つのはキツくない?
ちょっと王城を離れすぎですかね。
でもガルフィズが守ってくれるはず!
近衛兵は主として信用される家柄から選ばれる事が多い。
衛兵ならともかく、エリートの近衛から洗脳された離反者が出る事は問題がある。
犯罪者に刑罰を科す、経済力に応じて教育、医療に差が出る事は必然。
逆を行えば仕組み自体が成り立たなくなる。
反面では宗教団体、特権階級が取り立てる高い税に対して行われる行政、司法の合理性は妖しい限り。
優秀な王侯貴族なら政治経済を健全に機能させるが、エザリスの現状は不明。
教皇庁によって中央から貴族が遠ざけられ牛耳られているエザリスは「フランス革命直前」まで腐敗し切っているのかもしれない。
かなりヴィゾアに近しいところから反逆者が出ています!
エザリス王国はアズトラ教徒がどんどん増長していって、歯止めが効かなくなってしまったんですね。
ヴィゾアたち聖女も獣魔との戦いで忙しく…という感じです。
【フランス革命直前の状況】
18世紀後半、身分制に基づく旧体制の矛盾が深刻化
国家財政が苦しくなり、国王は免税されていた身分にも課税
なるほど~これは揉めそうです!
ヒザの弾痕が申し訳程度なのが気になる。もっと工夫して欲しいね。
うーん、もう少し破壊した跡が見れたほうがわかりやすいですかね。
ジグナの戦闘シーンってまだないよね~
最初の方にちょっとだけあるんですけどね、がっつりはないです。
ジグナvsコルゼティも見たかったかも
すぐ戦い出しそうな気もします。
コルゼティの拳ブリッツならジグナの銃弾もかなり防げるので、厳しい戦いになりそうです。