高くそびえる天井の下、厳かな静寂に包まれた神殿の中央。
聖女帝パルゼアは司祭であるブレアスと対峙していた。
「対話が人を救い秩序を保つ、だと?」
パルゼアは冷ややかに言い放つ。
その言葉ひとつひとつが鋭い光を宿しているようだった。
「法や対話で救える命など、ほんの一握りに過ぎない。世界はもっと醜く不条理に満ちている。最終的に力を行使できる者にしか正しい秩序は築けない」
ブレアス司祭は静かに微笑み、黒い髪を耳にかけた。
彼の白い法衣が微かな風に揺れ、燭台の炎が柔らかな影を揺らめかせる。
「陛下。力が正義を成す場面もあるでしょう。しかし、それは一時的な解決に過ぎません。力に頼る秩序は恐怖による沈黙を生むだけ。真の平和とは言えません」
「平和だと?」
パルゼアは眉をわずかに上げた。
「法を守らず平和を乱す者、対話をこばむ者にはどう対応するのだ」
「暴力はあくまで最終手段。それを行使する前に試すべき事があるはずです。力に頼れば対立は深まり、次の争いを生むだけなのですから」
ブレアス司祭の落ち着いた低い声には、微塵の迷いもなかった。
パルゼアは立ち上がり、盾を持つ手に力を込めた。
中央に据えられた結晶核が法力に反応し、淡い光を放つ。
その光が盾全体に広がっていった。
「理想論だ、ブレアス。法がすべてを救うのなら私は力を振るわずに済んだだろう。だが、現実は違う。力がなければ誰も私に従わなかった。力の裏付けがあってこそ、秩序は守られる」
「その力で守った秩序の先に何を築きたいのですか? 恐怖に縛られた人々は、真の平和を感じることができるでしょうか?」
ブレアス司祭は一歩も退かず、聖女帝の目をまっすぐに見つめた。
「それを築くのは力を行使した後で構わない」
パルゼアが毅然とした口調で答える。
「最初の一歩を進ませるには、強制力が必要だ。理想はその後でいい」
ブレアス司祭は小さく息を吐いた。
彼の瞳には深い慈悲と、どこか諦めに似た静けさが宿っている。
その静けさの奥で、小さく何かがうごめいた。
「陛下。ではあなたの言う通り、力で示すしかない…のですね」
言い終えた瞬間から、ブレアスの目が赤黒く変色していく。
法衣の下で筋肉が盛り上がり、身体がボキボキと鈍い音を立てながら膨張していく。
「ふん。オーゾレスに魂を売り渡していたのか」
「それは誤解です…あのお方は…すばらシい力を、わっわタシに…」
パルゼアを見下ろしながら、司祭だったモノが言う。
「あなタ…は、傲慢で…自分がタだしいと…信ジて…いル…それは…思いアがり…りっりっ」
膨れ上がった巨体には、もはや司祭の面影はない。
痙攣しながら赤く光る目がパルゼアを睨みつけていた。
コメント
一番乗りか!?
オーゾレスさん獣魔の因子で仲間を増やしてる…?
聖職者も最終的には力ずくなんです!
やはり暴力はすべてを解決する!
オーゾレスは獣魔の因子を使って、新たな神の力を持つ者を増やしているところですね。
力こそがパワーな国…
それがリガレアなんス。
「対話」で解決できると豪語するキャラ程、作中で大した事を言わない場合が多い。
空虚な絵空事ばかリ吐く聖職者にしては、口先だけでなく実行力を用意した点だけは評価出来ない事も無い。
しかしオーゾレスの陣営が予想より大幅に異常になっていた。
オーゾレスの動向をパルゼアが把握している辺り、聖女達は毎回情報に通じている。
女性聖職者に良識派の魅力ある人物は登場しないのだろうか。
対話も程度によるというか。
いきなり暴力もマズイですけどね。
聖女は基本、みんな事情通だったりします。
感応力持ちは情報戦には強いですね。
女性聖職者…うーむ、今のところはいないかな?
対話を促していた本人が力に飲まれていく件。パルゼアは盾がひとつになってる?結晶核搭載の新ブリッツか。
だめだ、対話じゃどうにもならねえ
的な。
パルゼアはまだ慣らし運転なので1機ですね。
結晶核が搭載されています!
似たくだりをギルゼンスとディメウスでもやってたけどブレアス君は力でわからせようとするところが違う。
ヴァルネイとの対比よ。
ヴァルネイはなんだかんだで民主主義的というか。
じゃあ拳で決めようぜという世界観ではなかったりします。
ギルゼンスはそうでもなかったけど…
でかくね?
6メートルぐらいあるよね。
中型獣魔ですか?
そうですね~
まさに6メートルぐらい
小型獣魔よりデカイという感じです
でも中型ほどではないかな、ということでパルゼアなら単騎撃破も余裕ですね