「顔を上げて、ゼタリリア。あなたはエザリス王国の誇りなのだから」
ヴィゾアは優しくそう声をかけて、玉座の前でひざまずくゼタリリアの方に手をおいた。
「しかし、娘の行いは決して許されることでは――」
「そのことなら気にしないで欲しいの。欲にまみれた司祭たちに天罰がくだったのよ」
ヴィゾアの言葉に驚き、ゼタリリアは思わず顔をあげる。
目の前でヴィゾアは赤絨毯に片膝をつき、優しく微笑んでいた。
かつて境界の死闘と呼ばれる戦いにおもむいたゼタリリアは、十数年ぶりに王城をおとずれていた。
娘であるリンカージェは、獣魔を率いてバトリグの街を破壊し、聖女や司祭たちを手にかけた。
その償いとして、ゼタリリアは自らの首を差し出すつもりで来たのだ。
「あなたは正体不明の怪物と戦った、国の英雄なの。教皇庁が間違っていたのよ」
いぶかしむゼタリリアの表情を見て、ヴィゾアはそう続ける。
それは心からの言葉に感じられた。
「それに、謝罪するのなら娘のリンカージェ本人が来るべきじゃないかしら」
冷たい声が王の間にひびく。
ゼタリリアはうつむくしかなかった。
「それでもゼタリリア。あなたがエザリス王国のために何か償いたいというのなら――教皇庁が渡した神器 アズトラの宝剣を返して欲しいの」
ささやくように言いながら、ヴィゾアはゼタリリアの肩に手を回し、抱き寄せる。
「すべては正義を成すために。私は強くならなければならないの。そのためには、あの神器が必要だわ」
ヴィゾアの白い指先がゼタリリアの背をなぞった。
その動きは労わりに満ちている。
しかし、どこか冷たい圧迫感も合わせ持っていた。
コメント
勇者の帰還!恩赦によってゼタリリア・リンカージェ共にストーリーに絡んで活躍し易くなる。
2人の描写が楽しみな一方で、復讐者リンカージェのダークヒーローとしての活動に物足りなさも。
わだかまりが残るリンカージェは危険任務を次々に押し付けられると予想される。
使い潰される前に認められる事を願うばかり。
リンカージェの大剣同様、返還した宝剣に劣らないレプリカ+αでゼタリリアの戦力は低下しないはず。
天獣の力と神器、ヴィゾアが主人公の様に強くなっていく。
美しい物が好きなヴィゾアの動きに百合疑惑♪
ゼタリリアはこれでフリーですが、伝家の宝刀を失ってしまいます。
リンカージェは聖女の中では依然強いですが、ほかも強くなってますからね…
ヴィゾアはよりパワーアップしますね。
でもアズトラの宝剣も似合うはず。
ヴィゾアは意外と女性も好きなんじゃないかという…好きの種類にもよりますが
ゼタリリア×ヴィゾア
そういうのもあるのか!
目隠しした金髪美聖女同士の禁断の…(*´Д`)ハァハァ
ある…んでしょうか!?
無限の可能性…
女の子ばっかり出てくる作品なんで、そういう方向性も生まれてくるのかもしれない。
相変わらずの不穏エンドw
心做しかヴィゾアのヤバさが増してるような?
絶対不穏な感じで終わらせたい…けど、4章だけは明るく終わらせました。
ヴィゾアは性格がちょっとずつ変わっています。
独善的な性格がさらに助長されてますね。
司祭たちがぶっ殺された件や街が破壊されたことは不問なのですか…!?
アズトラの剣も力ずくでゲットしちゃえばいいのでは?
ヴィゾアはゼタリリアのことを尊敬しているからできないのかな。
不問です!
ヴィゾアは教皇庁のことをよく思っていませんでしたので。
街が破壊された件は看過できないのですが宝剣をGETできるならまあいいかって感じに。
力づくはかなり厳しいと思います。
宝剣+ゼタリリア、全開放リンカージェのペアは聖女の中でもトップクラスなので、勝てたとしてもエザリスの聖女側に死者が出てしまいますね。
あとヴィゾアはゼタリリアをリスペクトしてますので、敵対したくないのもあります。
名前が出てくる割には出番が少ないリンカージェさん
ちょこちょこ出てくるんですけどね。
もう少し活躍させたい…