欺瞞と謀略

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月明かりが石造りの浴場に差し込んでいた。
湯気の向こうで、女は静かに目を閉じている。

欺瞞と謀略

王国で起きた戦いを、まるで目の前の出来事のように思い返す。
小さな笑いがもれた。

「ふ……」

黄金の大剣が空を裂く。
盾が砕ける。
黒い刃が火花を散らす。

どれも見事な力だった。
とりわけ、四本の大剣を操る聖女。
あの力は興味深い。
人の身でありながら、すでに獣魔に近い。

だが、ギルゼンスは首を横に振った。

「まだ足りない」

強が、足りない。
獣魔を従えるだけでは。
その力を借りるだけでは。

もっと先がある。
もっと美しい形が。

湯の中で細い指がゆっくりと動く。
水面に小さな波紋が広がった。

彼女は部下たちをある遺跡へ向かわせていた。
古い伝承が残る場所。
長い年月の中で忘れ去られた神々の残骸。
そこに眠るものが、本当に存在するのなら。

「楽しくなりそうだわ」

ギルゼンスは目を開けた。
月光を受けた瞳が、宝石のように輝いていた。

↓NEXT

朱の彫像
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コメント

  1. 匿名 より:

    倫理観を力への欲望で捻じ伏せられると怖い物無しですね。
    ギルゼンスに盲目的に心酔する聖女は多いだろうし、本当に楽しそうです。
    マナグロア、エルゼナグ、3大獣魔の後一体はグエイジスでしょうか?

    • akima より:

      念動力という大きな力を手にしたら、なんでも力づくで解決しようとするのではないか…というのが着想ですね。
      男性的な考えかもしれません。
      ギルゼンスにとっては楽しそうな展開ですが、他の聖女はたまったものじゃないですね笑
      グエイジスはノーマル大型獣魔なので、あと1体は現時点では謎なんです!

  2. 匿名 より:

    聖女皇さまのオシリが・・・!

  3. 匿名 より:

    あーゴーレムみたいなやつはこの話につながってんのか

  4. 匿名 より:

    ”視”ていた
    これってどういう意味ですか?
    なんで”が付いてんの

    • akima より:

      目で見ているのではなく、感応力で見るように感知していた、という意味です!

  5. 匿名 より:

    めずらしく聖女の目についての描写がある

    • akima より:

      いつも目隠ししてるので、ほぼ書くことがないですね笑
      お風呂入ってる時ぐらいかな。

  6. 聖剣の目隠し乙女 より:

    獣魔の血で身体強化されたリンカージェの存在、従魔術で獣魔を従えエザリスを襲撃する事を事前に知り得たのは何故か?
    ↓NEXTに【遺跡の守り手】【深淵の像】回収【朱の彫像】が抜けているので、追加すると連続して読む際スムーズになります。
    念動力は髪の編み込みを高速で行ったり、部品点数が多く侍女が必要になる様な複雑な衣装を素早く着込むのに役立ちそうです。
    濡れても余分な水気を念動力で弾き落としたり。繊細なメイクも精密性の訓練に向いているかも。
    忍び込んだ大聖堂地下はホテルの様に快適そうですね。
    森や月を望めるテラスに設置された浴槽、男女で利用できる幅広ベッド。
    湯気、蝋燭の明かり、激しい音声を漏らさず閉じ込めるギルゼンスの念動障壁は範囲も効果も規格外!

    • akima より:

      獣魔と人間の「調和」はギルゼンスにとってとても興味深いテーマなので、リンカージェの動向はチェックしてました。
      本人も手下も諜報活動が得意なので。

      NEXTの件、ありがとうございます!
      これが抜けていると話がわかりにくいですね。
      感謝です!

      念動力はいろいろと便利なので、聖女も法力なしでは生きられなくなってると思います。
      人は便利なものにはすぐ慣れてしまいますよね。

      大聖堂地下はホテルほどは快適じゃないかな?
      この話は場所を書いてないですが、ギルゼンスの住処のひとつです。