
暗闇の顎門
頭上の太陽に黒い人影が重なる。 垂直に天から落下するように神獣に近づくその影は、黄金に輝く4本の大剣を携えていた。
頭上の太陽に黒い人影が重なる。 垂直に天から落下するように神獣に近づくその影は、黄金に輝く4本の大剣を携えていた。
大きく開いた神獣の口から閃光がほとばしる。 ルジェラムの天盾による障壁は突き破られ、幾人かの聖女の姿を消し去った。 「撤退だ!みんな下が...
「おい、真上に飛べ!」 「でも、このままじゃ海上要塞が――」 「どのみち、アイツに任せるしかねえ」 ベルナズはロズタロトを抱えたまま、...
すみわたる青空に轟音が響く。 ベルナズの砲型ブリッツから放たれた弾は、いずれもガルズレムに着弾し、爆発を起こす。 しかし神獣はいっこうに...
「ってぇーーい!いっけええええ!」 ジレミューの叫び声とともに、砲弾が飛んでいく。 白い煙を上げながら突き進み、遠くに霞む巨影に着弾。 ...
日暮れが迫る南の城門は、一帯が焦げたような土ぼこりに包まれていた。 魔導巨兵の巨体が鈍くうなりを上げ、今にも門を破壊しようとしている。 ...
「わざわざ誘いに乗ってひとりで出向くなんて。ベルナズ!あなた、自信過剰にもほどがあるわ」 めずらしく感情を露わにしながら、ジグナがたしなめ...
夕方の陽射しが、朽ちかけた石柱をやわらかく照らしている。 乾いた風が通り抜けるたび、床に散らばった砂や小石がささやかにかすれる音を立てた。...
「それにしてもよ。なんで民衆は『自称、神』なんてのを簡単に信じちまうんだろうな」 両手を頭の後ろで組み、長椅子に腰掛けたベルナズがぼやく。...
黄金の髪が風になびく。 肩に触れるか触れないかの長さの髪が、まるで猫の尻尾のように気ままに揺れている。