「お嬢様…ご立派になられましたな」
レイヴィエ家に仕える執事、ノーウェンは燕尾服のポケットからハンカチを取り出すと目元を押さえた。
魔導巨兵の操縦席から見上げる空は、朝日によって白じんでいる。
空中に白いドレスを着た聖女の影があった。
ベルザリアは金色の髪を揺らしながら、優雅な動きで剣型のブリッツを操り、獣魔を斬り裂いていく。
蝙蝠に似た小型獣魔たちは断末魔の悲鳴をあげる間もなく、冷たく光る刃によって両断されていった。
「ふう…これで終わりね」
背後から襲いかかる最後の獣魔を剣の切っ先が貫く。
あたりに獣魔の気配がなくなったことを確認すると、ベルザリアは魔導巨兵の手のひらに降り立った。
「お見事です、お嬢様。感服いたしました」
魔導巨兵の胸の部分にある扉が開き、ノーウェンが顔を見せた。
涙の名残が宿る瞳が、わずかに赤くうるんでいる。
「弱き民を守るのも美しき者のつとめ。因果なものね」
ベルザリアは物憂げにため息をつき、懐から手鏡を出すと前髪を直した。
陽光を溶かしたような金の髪が、やわらかな光沢をまといながら揺らめいている。
空から飛来した小型獣魔の群れは、すべて掃討された。
沿岸近くの屋敷に住むベルザリアにとってはもはや日常である。
「その守るべき民ですが――どうも良くない噂が広まっているようなのです」
「ああ、新秩序とかいう。確かファム…なんとかという田舎貴族が吹聴してまわっているのでしょう?」
「コルゼティです、お嬢様。取るに足らぬ噂話ですが、楽観もできません。聖女王様も療養中ですから」
「ふん…ヴィゾアのやつ、こっぴどくやられたそうね。敗北するなんて信じられない。美しくないわ」
「このまま見過ごすわけにもいきません。誰かが聖女をまとめ、王国の威信を取り戻さねば」
「ふう…誰か、ですって?」
ベルザリアは呆れたように両手を広げて空を仰ぎ、魔導巨兵の手のひらを蹴った。
そのまま念動力で空中に浮かび上がる。
ベルザリアの影が月と重なり、淡い光を地に落とした。
「おお…!お嬢様」
ノーウェンはすかさず操縦席に戻り、魔導巨兵の背に搭載された砲台を空に向けて撃つ。
乾いた音とともに辺りに舞い散ったのは、ピンクや赤に彩られた花びらだった。
花吹雪の中でベルザリアは不敵に微笑む。
「ひ弱なヴィゾアに代わって、わたくしが指揮をとる。それもまた、美しく生まれた者の責務ね」
白じんだ空に、吐息がはかない雪のように溶けて消えていった。
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コメント
やっと登場したと思ったらこんなキャラクターなんだw
執事もいい味出してますね
1年半ぐらいかかりましたがさっそうと登場!
自分しか見えてないナルシスト系です笑
ノーウェンも同じノリです。
紹介立ち絵が特に好みなベルザリアが遂に登場!
ヴィゾアすら見下すあたり紹介にある通り、性格にいささか難あり…。
基本的に攻撃と敏捷が高いキャラが特に強いイメージですが、精密性が回避に重要となると若干ベルザリアの回避が心配になってくる。
精密性が9を超えれば、攻撃と回避に無駄な動きが少なくなり、敵の弱点箇所を的確に貫く「美しい」戦いが安定しそうなのですが。
沿岸近くの屋敷…元々の領地か、教皇庁によって中央から遠ざけられたのか。
ヴィゾアとは聖女になる前からの縁があったり。
美しい=偉い
自分が一番美しい=一番偉い
という世界観の人なので、かなり他の聖女とも摩擦が多いですね笑
攻撃・敏捷は獣魔戦においてとても大事!
ベルザリアは回避は得意ですが防御面がダメなので全部避ける戦い方になります。
沿岸近くはもともとの領地ですね。
海の近くは獣魔が現れるまでは人気な地域でした。
ベルザリア・・・?新キャラだと思ってたら既出なんだ
そうなんです、実は1年以上前からキャラ紹介ページはありました。
ノーウェンの立ち絵も必要ですよ。。
なにっ
メインのベルザリアだけではなく…!?
トライしてみます!
ファムはなんなんだよw
ぜんっぜん興味ないんですよきっと!