「は、博士! 女の死体が!」
正体不明の怪物を近くでひと目見たい、その想いから船を出したヴェイダル博士と船員たち。
空に閃光が走った後、力を失い、崩折れる怪物が遠目に見えた。
「あんな怪物見たことねえ。近づくのはよしましょう」
「いや、正体を見極めたい。行ってくれ」
船員はため息をついた。
好奇心に火がついた彼を止める術はない。
ヴェイダルたちは海面に横たわる巨体の近くに船を寄せる。
無数に開いた傷口から蒸気のようなものが立ち昇っていた。
「自己修復しているのか……?」
怪物はすでに絶命しているようだった。
それでも細胞のひとつひとつは生き永らえようと修復を試みている。
ヴェイダルが細胞を採取していると、船員が小さく悲鳴を上げた。
視線の先には血まみれの少女が横たわっている。
その周囲には千切れた手足と黄金に輝く剣が4本落ちていた。
「……まだ息がある。急いで近くの村に向かおう」
おそらく、この少女が怪物と刺し違えたのだろう。
4本もある剣をどうやって操ったのか。
何か特別な力を持っているはずだ。
興味が尽きなかった。
応急処置を行い、剣を拾い集めたヴェイダルたちは船を走らせる。
海面を照らす月光が、波を受けてゆらゆらと震えていた。
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人外の法
瀕死にあった聖女ゼタリリアを救うには、獣魔の驚異的な再生能力に賭けるしかなかった。
コメント
ゼタリリアの剣で攻撃されてもまるっきり自己修復ができなくなるわけじゃなく修復する力が弱まるということなんでしょうか。だとすると大型の爆弾で吹き飛ばして修復する前に殺してしまえば聖女以外でも倒せる可能性はありますよね。
ハイ、そうです!
自己治癒が遅くなるので倒しやすくなります。
大型爆弾で消し去る方法もなくはないのですが、大型獣魔以上は外皮がとても硬いので爆発だけで全身を一気に消し去るのはムズイです。
そのため、念動力で強化したブリッツでの攻撃が推奨されています。
余り強力な兵器があると長射程の大砲や大威力の空爆で瀕死にした後、再生中で満足に動けない獣魔に聖女が止めを刺す作業と化して盛り上がりに欠ける気がします。
軍事兵器はそこまで発達していないという事でしょうか?
その割にはレーザー兵器が存在していたり…。
そうですね~あまり簡単に倒せてしまうのも。
レーザーというか神気を凝縮させて射出させているので、そのあたりちゃんと書かないとですね。
話を前に進めたいばかりに世界観の説明がちょっと不足してます。
でもそこまで読んでもらえたら嬉しいな~
親方!空から女の子が!に通ずるものを感じてしまったw
たしかに笑
最初なんのことかわからずでしたが、記事に飛んだ瞬間に理解しました!
ラピュタネタで同じ事を考える人がいましたね(笑)
4本もの剣をどう使ったか←二刀流のもう一人を探すか、剣の大きさから4人両手持ちを考えるのが凡人。真っ先に特別な力を連想するヴェイダル博士は異才。
最近また盛り上がってましたね。
周りに誰もいなかったこと、船もなかったことなどから推測した感じです。
ヴェイダル博士ならなにか知っていたのかも?
ヴェイダルって命知らずの冒険野郎なんですねーw
物語のなかでとても重要な人物だと思うのですがこの後出てこないのが気になります
冒険野郎…でもありますかね。
とにかく好奇心が強くて、その特性を研究に活かしたりしています。
5章で再登場予定です。