迎撃の布陣

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雷鳴が、大広間を震わせた。

窓の外では、青白い閃光が何度も空を裂いている。

王城の大広間には、ただならぬ空気が満ちていた。

司祭、伝令、そして兵士たち。

誰もが慌ただしく動き回っている。

「北区で火災!」

「避難が追いつきません!」

「獣魔が再び雷撃を――!」

怒号のような報告が飛び交う中、ただ一人。

ヴィゾアだけが静かだった。

王座の前。

目隠しの奥で、状況を聞いている。

迷いはない。

恐れもない。

「ガルフィズ」

ヴィゾアが名を呼ぶ。

片膝をついていた聖女が顔を上げた。

日に焼けた肌。

長い金髪。

漆黒の大剣。

「市民を大聖堂へ。避難誘導を任せるわ」

即答だった。

わずかな沈黙。

ガルフィズはうなずく。

本来なら、自分も前線に立ちたい。

だが、今、誰が一番市民を守れるか。

答えは分かっていた。

迎撃の布陣

「……承知しました。必ず守ります」

頭を下げる。

「ウェレジア」

今度は青髪の聖女が呼ばれた。

巨大な白い盾へ寄りかかっていた身体を起こす。

「あなたも大聖堂へ」

「ほーい」

間延びした返事。

「また盾役かぁ」

「あなたが一番、時間を稼げるでしょ」

ヴィゾアは微笑む。

「市民を守って」

ウェレジアが肩をすくめる。

「はいはーい。んじゃ頑張りますか」

盾が音もなく浮いた。

「リズレウは司教たちの護衛を」

「承知しました」

そして、焦れた声が割り込む。

「あのデカブツをブッ殺すんだろ?」

ベルナズだった。

肩で切り揃えた金髪。

ぴったりと身体を包む戦闘服。

その周囲には、四つの火砲が浮かんでいる。

口元には、余裕の笑み。

「いいの?今度の相手、一筋縄じゃないわよ」

ヴィゾアが言う。

「ケッ!上等だ」

ベルナズが笑った。

四つの砲口が浮き上がる。

「なんなら俺ひとりで片付けてやる」

ヴィゾアは窓の外を見る。

遠く、黒雲の中心で巨大な影が動いていた。

「イズデイルが応戦中なの。飛ばすわよ」

風が吹き込む。

「――ついて来れる?」

ヴィゾアは窓枠へ足をかけた。

「あぁん!?誰に言ってんだ」

ベルナズが笑う。

次の瞬間、ヴィゾアは空へ飛び立った。

その背を、ベルナズが追う。

冷たい風が街の上空に吹きすさんでいた。

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歪む信仰
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コメント

  1. 匿名 より:

    ガルフィズだけ跪いてるところに性格を感じるw

    • akima より:

      そうなんです!
      ヴィゾアをリスペクトしてますので…
      ベルナズとウェレジアは作法とかそのあたり適当です。