聖女ディアゼ
「あたしひとりで余裕だな。お前ら帰っていいよ」
「あたしひとりで余裕だな。お前ら帰っていいよ」
「戦いには死力を尽くす。以上だ」
「ふふっ、いいじゃない。燃えてきたよ」
「多少硬くても同じこと。ブッた斬って差し上げますわ」
「哀れな獣たち。せめて美しく散りなさい」
自らに火炎が吐きかけられるとわかっていても、聖女ルドルザは身動きできないでいた。
エザリス王国の聖女は常に自分たちの行動が正義とともにあるか、に重きを置いている。
聖女は感応力が及ぶ範囲であれば、そこにある物や人の様子を手に取るように感知できる。
武器に念動力を付与することで、獣魔に対して特殊な効果が得られる。
「ちょっと待ってよ、独りで行く気なの?」 聖女ムーゼルの呼びかけを背で聞きながら、ルドルザは地面を蹴って浮かび上がった。