天をも墜とす
「まずはあのウザイ電撃をなんとかしねえとな」 聖女ベルナズは攻撃を止め、感応力を研ぎ澄ます。
「まずはあのウザイ電撃をなんとかしねえとな」 聖女ベルナズは攻撃を止め、感応力を研ぎ澄ます。
空は薄っすらと暗くなり始めていた。 青く光る環の中に、紺碧の鱗に包まれた龍型の獣魔が浮かんでいる。
「イズディ、これちょっとヤバくない?」 聖女が待機する詰所の上空で、パルヴァズは獣魔の姿を見ながらつぶやいた。
「お~? オッサン元気じゃん」 ヴェラム大聖堂前で住民の避難誘導を行なっていた聖女ウェレジアは、走り寄る赤い影に気づいた。 老婆に手を貸...
もはや雷といってもよいほどの電撃が首都バトリグに降り注いだ。 アズトラ教の神殿や教会が多く建設されている街の北側には、黒い煙が立ち昇ってい...
獣魔の奇襲時に聖女たちが集まる大広間で聖女王ヴィゾアが次々に指示を飛ばす。
「ごめんなさい、ヴィゾア様。わたし、勝手なことを……」 首都バトリグにある病院の一室で、聖女ルドルザは身体を横たえていた。 話すたびに骨...
聖女リズレウは幼いころから教会で暮らしていた。 両親は戦争で死んだらしい。
リテブル竜洞の奥深く。 神獣の化身とされ、三大獣魔に数えられるマナグロアは強い法力を感知して永い眠りから醒めた。
自らに火炎が吐きかけられるとわかっていても、聖女ルドルザは身動きできないでいた。