ある獣魔の覚醒
ヨルム湿原の奥地。獣魔ギレルガルは激しい怒りとともに眠りから醒めた。
ヨルム湿原の奥地。獣魔ギレルガルは激しい怒りとともに眠りから醒めた。
「早くここから逃げるんだ!」 「いや! お父様ぁ!」 ルドルザが何不自由なく育った家が、激しい炎に呑まれている。
「は、博士! 女の死体が!」
瀕死にあった聖女ゼタリリアを救うには、獣魔の驚異的な再生能力に賭けるしかなかった。
天啓を受けた2年後。 リンカージェのうちにある獣魔の血は覚醒する。
「こんな所に何があるってんですかね?」
後にリガレア帝国領となる小さな村で、ヴェイダル博士は聖女ゼタリリアとともに静かな時間を過ごしていた。
「リンカージェの名において命ずる」
時は経ち、聖女ゼタリリアとヴェイダル博士の間に生まれた娘———— リンカージェと名付けられた彼女もまた、14歳で天啓を受けた。
獣魔を倒す代償として四肢を失った聖女ゼタリリアを元気づけるため、ヴェイダル博士は念動力で操作しやすい義肢を開発し、彼女に贈った。