
雷獣の襲来
「ごめんなさい、ヴィゾア様。わたし、勝手なことを……」 首都バトリグにある病院の一室で、聖女ルドルザは身体を横たえていた。 話すたびに骨...
「ごめんなさい、ヴィゾア様。わたし、勝手なことを……」 首都バトリグにある病院の一室で、聖女ルドルザは身体を横たえていた。 話すたびに骨...
聖女リズレウは幼いころから教会で暮らしていた。 両親は戦争で死んだらしい。
リテブル竜洞の奥深く。 神獣の化身とされ、三大獣魔に数えられるマナグロアは強い法力を感知して永い眠りから醒めた。
自らに火炎が吐きかけられるとわかっていても、聖女ルドルザは身動きできないでいた。
「ちょっと待ってよ、独りで行く気なの?」 聖女ムーゼルの呼びかけを背で聞きながら、ルドルザは地面を蹴って浮かび上がった。
ヨルム湿原の奥地。獣魔ギレルガルは激しい怒りとともに眠りから醒めた。
「早くここから逃げるんだ!」 「いや! お父様ぁ!」 ルドルザが何不自由なく育った家が、激しい炎に呑まれている。
「は、博士! 女の死体が!」
瀕死にあった聖女ゼタリリアを救うには、獣魔の驚異的な再生能力に賭けるしかなかった。
天啓を受けた2年後。 リンカージェのうちにある獣魔の血は覚醒する。